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真実2 2
「降りないんですか?」
「ああ、まだ降りないよ」
運転席には円城寺家専用の運転手。助手席には秘書の男性。揃いも揃って若くて美男子だ。
それも円城寺が自ら選んで傍に置いている。公私混同も甚だしい。
そんな円城寺側の人間ばかりの密閉空間は、佑月にとっては息がつまるものがあった。
早く車外へと出たいのに、まだ降りないなどと不可解な円城寺の言葉。
佑月も暇ではない。依頼も入っている。色々準備もあるのだが、文句を言っても通じる相手ではなく、佑月の焦燥は募るばかりだった。
それから十分程経った頃、円城寺の車の前に縦列駐車をする高級車があった。
その車を見て、佑月の心臓は痛みを伴うほどに大きく跳ね上がった。
静かな車内のせいで、自分の鼓動が円城寺らに聞こえてしまいそうなほど。
その動揺を円城寺にだけには悟られたくなかった佑月は、懸命に無関心を装った。
「来たようだね。若林くん頼むよ」
「はい、かしこまりました」
若林と呼ばれた秘書は徐に、助手席から降り立つ。そしてその向かう先は、今しがたビルから現れた一人の男の元。
佑月は怒りで震える拳を握りしめた。
「何の真似です」
佑月の質問に、円城寺はただ微笑みを浮かべただけで、窓を少しだけ開けてから、車から降りて行った。
若林は円城寺が現れると、頭を下げてから車へと戻ってくる。
車内から見る外の光景は、何とも異様な空気に包まれていた。
前に止まる高級車の運転席から降りた男と、ビルから出てきた男、そして円城寺。
「どうも忙しい時に悪いね。こうやって会うのは初めてだね」
円城寺の機嫌のいい声。
窓を開けたのは、会話が聞こえるようにのためらしい。距離もさほど離れていないため、よく聞き取れた。
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