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真実2 4

 だが目に入った須藤の顔は、怖いほどにであった。そんな表情(かお)を見れば、誰であろうとも心は沈むだろう。佑月もそれに違わずであった。  須藤とて予期せぬことだったはず。  だが須藤はそれを完璧な無反応で返す。  須藤が何かしらの反応を見せる……などあり得ないことだと分かってはいても、佑月は心のどこかで期待していたのかもしれない。 「どうでもいいが、のこのことよく俺の前に、その(つら)を見せれたな」  須藤は冷たくそう言い放つと、円城寺が答える前に、直ぐに車へと乗り込んでしまった。  真山は後部座席のドアを静かに閉めると、佑月ら二人に軽く頭を下げ、運転席へと乗り込んで行った。 「……ずいぶんと冷たい男だ。須藤という男は」  言葉とは裏腹に、円城寺は至極満悦といったように口角を上げていた。 (このタヌキめ……)  結局円城寺は、全てを信じてはいなかったということだ。自分の目で確かめたかった。佑月らが、本当に別れているのかを。  だが今の須藤を見て、円城寺は確信を得たようだ。 「去るものには見向きもしない。本当に噂通りの男だったな。あんな男とは離れて正解だったのだよ、佑月」 「そうですね……」 「さあ、車に乗りたまえ。事務所まで送ろう」  佑月は素直に頷き、事務所までの車中を円城寺と過ごした。  最後に須藤が放ったあの言葉が、自分に放たれた言葉とは、露ほども円城寺は思っていないのだろう。車中では終始ご機嫌な様子だった──。

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