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真実2 10
「そう、薬だ。私は必死に独自のルートを作り、一気に売り捌いていったよ。薬に溺れていくクズどもを見るのは爽快だった。それで何組かの組織が潰れていったからな。それは今も変わらない。一生続いて行くのだよ」
須藤から聞いたという事実を知ったからとは言え、こうもあっさりと円城寺が吐くとは佑月も思ってはいなかった。
だが円城寺の口から、要 の言葉を引き出せて、佑月は密かに軽い息をついた。
「そんなことをして、父が喜ぶとでも思ってるんですか?」
本当はもっと人としての在り方を訴えてやりたかった。だが、今の佑月の目的はそこではない。円城寺を強く否定してはいけないのだ。
「そうだな。雪斗はきっと喜んではいないだろう。だが雪斗も今や、最愛の女といるのだから、気にもしていないだろう。それに、こんな素晴らしいものを遺していってくれたからね。佑月……」
円城寺が母であるマリカに近づいたのは、佑月という存在を知ったから。
そしてマリカの信頼を得て、我が物顔でいつでも家に訪れてきていた。
母が死んだのは、過労だと佑月は聞いていたが、本当のところはどうなのかは……誰も知らない。
円城寺は佑月の白い頬を愛でるように、撫でていく。佑月はそれを、やんわりと外す。
「貴方の行為は、俺には理解出来ません。俺がやめてくれと言っても、やめてはくれないんですよね」
佑月の質問に、円城寺はやんわりと笑うだけで答えることはなかった。
今となっては、円城寺の薬への執着は、ただの金への執着へと変わってしまっている。
もうやくざへの憎しみなど持っていないことがよく分かった。
佑月とて、円城寺に憎しみの心を忘れないでいて欲しかった、とは思っていない。思いたくもない。
それは、雪斗をダシにやくざと関わり、私腹を肥やしいるのが到底許せるものではなかったからだ。
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