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薔薇 6
その翌日には、出勤前の【J.O.A.T】メンバーにメールで知らせ、営業前に発見器で調べていった。あったのは、来客応対用のテーブルの下。
“松本 学”として依頼に来た時か、“島田”という老人に扮して訪れて来た時か、恐らくどちらかの時に設置したのだろう。今更リアンに、いつから付けていたのかを問い質しても、仕方のないことだ。
盗聴器を見つけた佑月らは、その足で佑月の行きつけである喫茶店【虹】へと赴き、そこで佑月はメンバーに今回の事を詳細に話した。
メンバーはそれを快諾してくれ、事務所へと戻り、皆は一芝居を打ってくれたということだ。
「まんまと騙されていたわけね」
「自分の事を棚に上げて、人聞きの悪いこと言わないで下さい」
リアンの口から必ず出るだろうとは佑月も思っていたが、実際に聞くとやはり呆れを感じた。リアンもまたプライドの塊で出来ているようだ。
「用がそれだけなら帰ってくれる?」
「貴方が盗聴器を仕掛けてくれていたお陰で、こちらは随分と動きやすくなりました」
「……いいから早く帰ってくれないかな」
リアンは身体を少し庇うように、ゆっくりと佑月に背を向けてベッドに横になる。
「円城寺も俺たちが別れたと信じて疑わない」
「……うるさい」
「随分と噂が回るのも早かったですし、よっぽど……だったのでしょうね」
リアンの身体が小刻みに震えているのが、分かる。佑月はそれを冷めた双眸で眺めていた。
「まあ、これ以上ここにいても、お互い気分が悪くなるだけでしょうから帰ります」
リアンは黙ったまま、痛々しい両手でシーツを握りしめていた。
怒りと悔しさで震えるリアンを見て、佑月の気分は少しだがスッと晴れた。
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