360 / 444
いつまでも 4
「今日は休みだよな?」
「あぁ、休み」
言葉の通りに、いつも綺麗に盛ってる髪も、ナチュラルに流しただけの髪型だ。いつもの颯より少し幼く見える。
「ちょうど俺も颯に会いたかったけど、ちょっと元気ないぞ。どうかしたのか?」
「いや……その、ユヅが心配でさ……。もう少し時間を置いてからにしようかと思ったんだけど……」
元気のない原因が自分だと分かり、佑月は申し訳なくなった。
「そっか……わざわざありがとう。でも大丈夫。颯や陸斗ら、みんなに心配かけてしまったけど、こうやってみんなが支えてくれたから、俺は大丈夫だったんだしさ。感謝してもしきれないくらいだよ。きょう颯に会えて良かった」
「ユヅ……」
佑月がニッと笑うと、ぎこちなさはあるが、颯も笑顔をつくった。
「実は、ほんとはさ“今回のこと”オレも知ってたんだ」
「そうだろうなと思った」
「え?」
佑月の即答に颯は驚く。
「だってあの時、いくらなんでもタイミングが良すぎたし」
だから何となく、須藤が絡んでるんだろうな、という予感はあった。
「あはは、だよな? やっぱバレるよな」
円城寺が突然事務所へと訪れてきたとき、颯が来てくれたお陰で助かった。颯と二人、懸命に走ったのを少し懐かしく感じた。
「あの須藤さんがさ、オレに頼み事するなんて、驚いたってもんじゃなかったぞ」
「うん。それは俺もビックリした。でも、ほんと感謝してる」
「大まかだけど今回のことを教えてくれて、何かあればユヅの支えになってやれって」
自分は傍に居てやれないから、直ぐに駆け付けられるようにもしておけとも言ったと颯は言う。
「須藤さんらしいというか……ほんと、ごめん」
普通なら迷惑千万なことだっただろう。だが颯がそれを迷惑だとは思わない男だということを、佑月はよく知っている。
「それで……どうなんだ?」
颯が言いにくそうに言う中、佑月の鼓動は痛い程に跳ねる。
「花ちゃんが持ってた、あの雑誌の占い、覚えてる?」
突飛な佑月の質問にも、颯は驚きながらも「覚えてるよ」と返した。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!