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after story 17

「でも、いいお父様だね」 「まぁな……。親父には感謝してっし」  ちゃんと親に感謝出来る柾に、佑月は温かい気持ちになる。しかし当の本人である柾は制服を全て脱ぎ、上下スエットに着替えつつも何だか少し不機嫌な様子だった。  そんな柾を疑問に思いつつも、佑月はあえて触れず、昨日と同じ椅子に腰を下ろした。 「さ、今日は勉強するよ」 「はぁ? マジですんのかよ? 別に教える必要ねぇって知ってんだから、やんなくていいだろ。めんどくせー」  柾はダルそうにそう言うと、ベッドへと倒れ込んだ。 「そうだけど、せっかくだし。ね?」  佑月はそんな柾にめげずに優しく言うと、柾は暫く佑月を見つめてから徐に身体を起こした。 「分かった」  柾は勉強机に素直に座る。  そして、佑月は失礼と分かっていながらも、内心で驚いていた。与えた問題を楽々に解いていく。試しに机上に何冊かある、参考書から難問と言われる数式を解かせるが、難なく解いていくのだ。 「だから、別に勉強なんてしなくてもいいんだよ」 「驚いた……」 「正直だな、佑月は」  思っていたことを思わず口に出してしまい、柾に笑われる。 「あ……ごめん。でも、これは高校生レベルじゃないから」 「分かってる。でもオレは、そういう正直な奴は好きだな」 「そ、そう? ありがとう……」  高校生にフォローされる自分が少し居たたまれなくて、苦笑いを溢した。  それから勉強が必要ないと分かると、佑月は時間まで、柾からの質問攻撃にあった。そのせいで、どっと疲れを感じたが、疲れている暇は佑月にはなかった。  今日1日最後の仕事は、某ホテルに宿泊している客から書類を預り、届けに行くというもの。  これが終わってマンションに帰ったら、須藤が愛飲しているブランデーを飲もうと、秘かな楽しみを抱いて、急いで目的のホテルへと佑月は向かった。

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