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after story 24
「……づき?」
今日の依頼の対象者であった男、そして浮気相手の女。その姿が昨日の須藤と女の姿と被り、佑月の胸はまたズキリと痛みを伴った。それを追い払うように頭を振る。
「おい! 佑月どうしたんだ!」
「っ! あ……ご、ごめん」
突然肩を揺さぶられ、佑月は驚いて目の前の少年に詫びた。
ここは家庭教師という名目で訪れている柾の部屋だ。今や机に着くのではなく、フローリングの床に二人腰を下ろして、時間まで本を読んだり、話をしたりと過ごしている。
「なんか、来たときから元気ねぇけど、何かあったんか?」
「あー……うん。仕事のことでちょっと考えないといけないことが多くて。ごめん、今も仕事中なのに」
〝何でもない〟と言えばよかったのだろうが、きっと柾にはそれは通じないだろうと、佑月は悪いと思いつつ当たり障りのない返答をした。
「それは全然いいけどさ。社会人ってのは大変なんだな」
「そうだね。お金を稼ぐことに何一つ楽なことはないからね。でも楽しいこともあるし、その充実感を得られたらいくらでも切り抜けられる。柾くんは将来やりたいことあるの?」
「オレ? オレはさぁ──」
未来のやりたい事を語る柾を微笑ましく思い、佑月は柾の話を聞くことに集中した。
「じゃ、そろそろ帰るよ」
二時間が経ち、佑月は帰ろうと床から腰を上げた。たが直ぐに手首に圧が加わった。
「……どうかした?」
佑月の手首を掴む柾。その顔は何か訴えかけるものがあった。
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