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after story 25

 佑月が手を引こうとすると、更に掴まれる力が強くなる。 「なぁ、佑月……」 「何? ちょっと手首痛い」 「あ……ごめん」  柾の手は名残惜しそうに佑月から離れていく。その熱っぽい視線は、心ここに在らず状態の佑月には届いていなかった。 「あのさ、今度佑月の家に行っていいか?」 「俺の家? 来てもボロアパートだし、綺麗じゃないけど」 「そんなの全然気になんねーよ。たまには気分を変えてぇんだよな。ずっと家だし」  確かにこの依頼が始まってからは、遊び回ることはしていないようだ。依頼が終わっても、深夜に家を抜け出すことはしていないと父親からも聞いている。普段遊び回るような開放的な気分に慣れていたら、きっと息が詰まるのだろう。 「本当に何もないよ?」 「だからいいって!」 「分かった。じゃあ明日にしよっか」 「おぅ」  柾の嬉しそうな笑顔に見送られ、佑月は邸宅を後にした。 「ただいま」  誰もいない須藤の部屋には、佑月の声だけが寂しく響く。コンビニで買ってきた弁当をダイニングテーブルに置くが、全く食欲が湧かなかった。  陸斗たちの前では余計な心配を掛けたくなくて、佑月は明るく振る舞っている。そのせいで、一人になるとその反動を受けてどっと気持ちが沈んでいった。  このままでは何も解決はしない。そのうち仕事にも影響が出る。現に柾に心配されてしまった。取り返しがつかなくなる前に、何とかしなければならない。今夜、須藤が帰ってきたら真相を聞き出そう。そう佑月は心に決めた。

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