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after story 26

 待ってる時に限ってなぜ須藤は帰って来ないのか。外はすっかり白み始めている。睡魔にまけて何度か落ちたが、その際に確認した時も、帰ってきてる気配はなかった。  佑月は深く息をつくと、時間までベッドの上で過ごすことにした。 「滝川さん」 「はい」  いつもの事務所までの車中、佑月は落ちてることを悟られないよう、元気を装う。習慣になってしまいそうだ。 「昨夜、須藤さんどうしたんですか? 邪魔しちゃ悪いと思って電話は控えたんですけど」 「あれ? 須藤様、連絡されてなかったんですか? 昨夜は店のトラブルがあったんですよ」 「そうだったんですか。多分忙しくてそれどころじゃなかったんでしょうね」 「そうかもしれませんね」  店のトラブルなら大変だったことだろうと思う。だが佑月はホッとしていた。少なくとも、あの女性の元には行ってないことが分かったからだ。それだけでも気分は少し浮上し、佑月は流れる景色をぼんやりと眺めていた。  仕事に入ってからは、余計な事を考えず目の前の依頼に打ち込む。夕方には事務所へと戻り、ホッと息をついてた。そこへデスクに置いていたスマホが震えた。 「もしもし、成海です」 『おぅ、佑月。今さ、事務所の近くにいるんだけど、もう降りてこられるか?』 「え? わざわざ来てくれたのか? 迎えに行ったのに。今から行くから、少し待ってて」  電話を切り、パソコンの電源を落とす。急いで用意する佑月を見て、陸斗と海斗が怪訝そうに顔を見合わせていた。 「ごめん、俺このまま直帰するから、鍵宜しくね」 「……はい。あの、この時間の依頼って、あのガキのところですよね? 誰か来てるんですか?」  陸斗が心配そうに訊ねる。 「柾くんだよ」 「柾って……何でまた来てるんすか」  海斗が怒ったように、事務所の窓へと行き、ブラインドを上げて外を確認している。

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