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after story 41
須藤の唇へと顔を近付けた瞬間、須藤は佑月の腰に片手を回すと、そのまま一気に引き寄せ、噛み付くように唇を貪ってきた。激しすぎるものに目の前がチカチカとするが、それも一瞬でお互いが貪り合うように唇を重ね合った。この男は自分だけのもの。誰にも指一本触れさせたくない。独占欲が剥き出しになる瞬間だった。
長いキスの後お互いの唇がゆっくりと離れる。須藤は佑月の頬を両手で包むと、啄むキスを何度もしてきた。唇が触れ合う度に、チュッチュッと可愛らしい音がする。こんなキスは須藤らしくない。
さっきのようにいつも強引に奪われるキスは、佑月への激しい渇望、執着を強く感じるが、今のキスは何か温かい愛情を感じて佑月は擽ったさを感じた。
「ん……須藤さん」
須藤は「なんだ?」と言いながらもキスをやめない。
「どうした……のかと思って……」
「何が」
「何がって……こんな……」
須藤は最後に瞼へキスを落とす。
「もどかしいか?」
「もどかしいと言うか、変な感じ……」
須藤はフッと笑うと、佑月の腰に回していた腕を少し緩め、二階へと誘導していく。
「一週間はあるからな。初めから飛ばしたら持たなくなるだろ?」
佑月の顔は一瞬で朱へと染まる。
そうだ。自分は一週間も監禁されるのだ。一人で帰るのはほぼ難しい。とはいえ、死ぬ思いでの脱走なら可能だろうが、そこまでするほど監禁されることが嫌だとは思ってない。むしろこの一週間誰にも邪魔されず一緒に居られることが嬉しい。
だがこの時の佑月は知らなかった。
〝監禁〟の本当の意味を……。
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