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after story 56
須藤はベッドに腰を掛けると、うつ伏せで寝ているせいで剥き出しになっている佑月の尻を、揉むようにして撫でてきた。いちいち触れてくる度に性的な匂いがするが、払い除ける気力のない佑月はそのままにしておく。
「悪いな。どうしても目を通しておきたいものがあるんでな」
「ううん、別にいいよ。アンタは忙しい人だって分かってるから」
次第に須藤の指が双丘の狭間へと潜っていく。腫れた蕾を撫でられ、僅かな痛みと疼きが同時に走った。
「ん……ねぇ、須藤さん」
「何だ?」
「ぁ……」
指がつぷりと中に埋め込まれ、さすがにそれは勘弁と佑月は須藤の手首を掴んだ。
「ダメ……。今日はもうムリ」
「分かってる。だいぶ腫れてるな」
誰のせいだ。分かっててなぜ指を入れたんだと普段なら怒ってただろう。でも今の佑月には怒る気力もない。ただ身体だけは敏感に快感を辿ろうとするのは、まだまだ須藤が欲しいと言っているようで、そんな自分が怖かった。
「ここには本はないんですか?」
「本か。昔は書斎には本を置いていたが、全部処分したな」
「処分!? ……なんてもったいない」
「本くらいなら手配しよう。どんなものがいいんだ?」
佑月はホッと息をついた。本まで駄目だと言われたら本当に暴れたくなる。
「推理もの。東野◯吾の本なら何でもいいよ」
「分かった。直ぐに手配する」
そう言うなり須藤は直ぐにスマホを耳に当て、真山に取り寄せるよう頼んでくれた。佑月は礼を言うと、ゆっくりと身体を起こした。
「どうした」
「あ、ちょっとトイレ行ってきます」
「大丈夫か?」
「大丈夫」
佑月は支えてくれようとする須藤の手を断って、ベッドから床に足を着けた。
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