427 / 444

after story 56

 須藤はベッドに腰を掛けると、うつ伏せで寝ているせいで剥き出しになっている佑月の尻を、揉むようにして撫でてきた。いちいち触れてくる度に性的な匂いがするが、払い除ける気力のない佑月はそのままにしておく。 「悪いな。どうしても目を通しておきたいものがあるんでな」 「ううん、別にいいよ。アンタは忙しい人だって分かってるから」  次第に須藤の指が双丘の狭間へと潜っていく。腫れた蕾を撫でられ、僅かな痛みと疼きが同時に走った。 「ん……ねぇ、須藤さん」 「何だ?」 「ぁ……」  指がつぷりと中に埋め込まれ、さすがにそれは勘弁と佑月は須藤の手首を掴んだ。 「ダメ……。今日はもうムリ」 「分かってる。だいぶ腫れてるな」  誰のせいだ。分かっててなぜ指を入れたんだと普段なら怒ってただろう。でも今の佑月には怒る気力もない。ただ身体だけは敏感に快感を辿ろうとするのは、まだまだ須藤が欲しいと言っているようで、そんな自分が怖かった。 「ここには本はないんですか?」 「本か。昔は書斎には本を置いていたが、全部処分したな」 「処分!? ……なんてもったいない」 「本くらいなら手配しよう。どんなものがいいんだ?」  佑月はホッと息をついた。本まで駄目だと言われたら本当に暴れたくなる。 「推理もの。東野◯吾の本なら何でもいいよ」 「分かった。直ぐに手配する」  そう言うなり須藤は直ぐにスマホを耳に当て、真山に取り寄せるよう頼んでくれた。佑月は礼を言うと、ゆっくりと身体を起こした。 「どうした」 「あ、ちょっとトイレ行ってきます」 「大丈夫か?」 「大丈夫」  佑月は支えてくれようとする須藤の手を断って、ベッドから床に足を着けた。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!