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after story 60
「わ、分かりました! だからもう痕つけないで、仁! むぐっ……」
やけくそ気味に言った瞬間、須藤に唇を奪われる。呼吸まで奪われて苦しいが、正直いまは助かった。顔が半端なく熱く、ゆでダコ状態だからだ。
そんな中、須藤の可愛い一面を知れて佑月は嬉しくなる。名前でむきになる須藤など、きっと自分しか知らない一面だ。真山さえ知らないだろう。そう思うと胸の辺りがジーンと熱くなって、感動すら覚えた。
「ねぇ、じ、仁さ……」
さん付けしかけた佑月を、須藤はジロリと不満を目で抗議してくる。佑月はたまらず声を上げて笑った。
「アンタが拗ねる顔って本当貴重。そんな顔、他の人が見たら驚くだろうな」
今日は色々な顔を見せてくれる。そのため初めて須藤のマンションに泊まった時、真山が佑月に言った言葉を思い出した。
『あの方が心から安らげる場所が必要』
色んな表情 を見せてくれるようになったのは、もしかしたら少しはなれているのかもしれない。須藤にとって安らげる場所へと。佑月にとってもそうであるように──。
「あぁぁ……もう……ダメ……あ……仁、許して……」
もう今日が何日目だとかの認識も無くなってしまった。挿入なしのセックスは二日目だけ。後は昼夜問わず求められ、正直佑月の体力はほぼ無いと言ってもいい状態だった。ゴムもとうに底をつき、最奥に欲を放たれれば、その刺激だけでも佑月は快感で身を震わせた。
「はぁはぁ……」
ぐったりと力なくベッドに沈む佑月の身体は、汗と唾液、精液とでドロドロだ。シャワーはいつも佑月の意識が朦朧としている時に、須藤が身体を洗ってくれているよう。
もう抵抗すら出来ない佑月はされるがまま。食事もトイレも須藤の手を借りないと出来ない。それを甲斐甲斐しく世話をする須藤は楽しそうだが……。
こんなセックス漬けの毎日で、佑月の思考も正常には働かなくなっていた。
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