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after story 61
これがまずい状態ということは頭の片隅では理解している。だが結局は自分は快楽に弱い。そして何より須藤に触れてもらえることが嬉しくて、本気で抵抗が出来ないでいる。
それに抱かれている時、須藤は独占欲を剥き出しにしてくる。それが愛されてるという心地よさで、全てを委ねてしまっていた。
〝今後誰にも肌を見せるな〟
〝触れさせるなんてものは言語道断だ〟
特に今回は抱かれる腕の中で、須藤はしつこい程に佑月へと言い聞かせてきた。佑月とて好き好んで他人に肌を見せたりはしないし、ましてや触らせたりなどしない。でもちょっとした油断で、先日のように高校生に押し倒され危ない目に遭う。須藤からすればそんな佑月が危うく、苛々とする要因でもあるのだろう。だから佑月は、自身にしっかりしろと強く肝にも銘じなければならなかった。
(ん……もう……ムリ……)
身体をゆっくりと揺さぶられるかのような振動があり、佑月は反射的に身を捩る。また須藤に無理やり覚醒させられているのだろうかと、身体は勝手に快感を探ろうとしている。
しかし何か、須藤に揺さぶられているにしてはおかしい。何故なら、ベッドから身体に振動が伝わるような感覚がするからだ。夢現の中で、佑月は須藤の身体を探した。
(あれ……?)
手を伸ばせど触れる気配がなく、佑月は不安に駆られる。もう身体にも染み付いた須藤の匂いと温もり、触れないだけでこんなにも心許ない思いをする。
(あ……いた)
やっと手を握って貰えて、佑月は顔を綻ばせた。キスをしたくて握られた須藤の手を引っ張るが、何故か逆にクイクイと軽く引っ張られてしまう。
「佑月、起きたのか?」
(まだぼんやりするし、それに……)
ふかふかの柔らかいベッドで寝ているはずが、そこは硬い上に弾力性がない。そうまるで革張りのソファに寝ているような感覚。しかも未だに軽い振動がある。
そこへ再び「佑月」と手を引かれ、佑月は重い瞼を上げた。
異様に周囲が暗い。目線をぐるりと動かし、そして自身の左隣へと移すと、須藤を背中から見る位置で自分が横になっているらしいことがわかった。
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