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after story 62

「え!? いっ!!」  驚きで咄嗟に上半身を起こした佑月だったが、腰の激痛で暫く悶えるはめに。 「突然起き上がる奴がいるか……。大丈夫か?」  本当なら相手には気を利かせて「大丈夫だ」と言うところだが、大半が隣の男のせいでもあったため、佑月は横目でじろりと見るだけに留めた。そんな佑月でも須藤は満足そうに、口の端を上げる。  ベンテイガの車内。倒された助手席のシートを、須藤は運転しながら戻してくれる。どっしりとした革張りのシートが佑月の華奢な背中を包む。 「ありがとう……。もしかして帰り?」  窓の外は斑な雪景色。あのヘアピンカーブが恐ろしい山は越えたようで、今は田舎道を走っている。 「あぁ」 「雪……よく無事にあの山越えれましたね」 「そんなに降り続かなかったのもあるが、凍結防止剤も撒いて、除雪もしてあるからな」 「そっか……」  無事に通過出来て良かったと、佑月はホッと息をついた。  ずっと裸族同然だった日々。帰りはちゃんと服を着せてくれてるようだ。真新しいブランドの白のスウェットの上下。車内も暖かいし、スウェットも裏起毛素材で温かい。再び眠気に襲われるが、佑月は眠るまいと眉間を揉む。 「一週間……経ったんだ」 「あぁ。今日は昼過ぎから仕事があるから、早めに出た」 「仕事……」  ナビのディスプレイを見ると、午前六時半を表示している。もういつから落ちていたことなども全く分からない。二十五年生きてきた中で、こんなにも濃い……濃すぎる一週間を過ごしたのは初めてだ。身体中はあちこち痛い。特に後ろが。孔はちゃんと閉じているのかが心配にもなる。そして性器も擦られ過ぎて、下着が触れるだけで少しヒリつく。 (俺でこんなにも痛いんだ。この人のアソコはもっと痛いはず……)  佑月はチラリと須藤に目を遣った。ホワイト系のVネックのカシミアセーターに黒のタイトパンツ。須藤が着ると何でもカッコ良く見える。そんな須藤に少し見惚れながらも、その視線を下半身に持っていった。

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