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after story 68

 電話で良かったと佑月は顔の熱を冷ますように手で扇ぐ。そして受話口を手で鬱いで咳払いをし、自分を落ち着かせた。 「あぁ……と、とにかく二日間の陸斗らの日給と依頼料金──」 『佑月先輩! 実はその依頼料金なんですが……その……』  突然言いにくそうにする陸斗に、佑月は思わず首を傾げる。まだ未払いなら、後で本人から回収できる。それを伝えようとした時、陸斗から耳を疑うことを聞かされた。 「な、なんだって!? 嘘だろ!?」  佑月は我を忘れて叫ぶ。陸斗と海斗も初めは信じられず、何度も花と三人で確認したようだ。 「そ、そっか……困ったな。でも、きっとあの人のことだから、返すなんてことはさせてもらえないだろうからな。とりあえずそれは、一旦は有り難く受け取っておくことにしよう。うん」 『そ、そうですね! さすが太っ腹!』 「あはは……だね。じゃあ、また三日後、挽回するのでよろしくお願いします」 『はい! また三日後に』  通話を終えて佑月は深いため息を吐いた。  今回の二日間を買い取った須藤。その金額たるや、正気の沙汰とは思えなかった。たった二日間で三百万も出すなんて。一日の依頼で内容によっては、稀に五十万以上は稼げる日もあるが、普段は微々たるものだ。よくやっていけているなと佑月も思っているが、正直なところ、かつかつな状態だ。  そんな時に三百万もの大金が入るのは嬉しい。だが、この金額はどう考えても貰いすぎだ。夜に須藤とはちゃんと話さなければならない。 「どう言えば仁は納得するかな……」  佑月は考えながら、まだ顔も洗ってない事を思い出し、洗面所へと向かった。顔を洗い、歯を磨いた佑月は、部屋へ戻ろうとした時、いつもは閉まっている奥の部屋のドアが開いてることに気付いた。

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