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after story 69
この部屋の間取りは、玄関を入りエントランスホールを抜けると、広すぎるリビングルームとダイニングルームがある。その隣に須藤の主寝室があり、トイレと洗面所はその斜め前にある。
そして主寝室の隣に部屋が二つあるのはもちろん知っていたが、いつも開かずの間の如く閉じられたままだったのだ。その主寝室の隣である部屋のドアが全開になっていれば、気にならないと言えば嘘になる。
「珍しい」
好奇心に駆られた佑月はそっと中を覗いた。
「うわ、広い」
須藤の部屋ほどではないが、十畳分はありそうな広い部屋。テレビに二人用のシックなホワイトのソファ。その足元には、見るからに毛並みが良く手触りなども最高そうなベージュの絨毯が敷かれている。
日当たりの良い出窓の側面には、同じく白を基調としたセミダブルのベッドがある。寝心地は良さそうだ。そして仕事用の机もある。部屋の全体像は白とベージュが基調となっているせいか、とても柔らかく温かみのあるものに感じられる。
気になるのは、ウォークインクローゼットの横に、段ボールが数箱積み重なっていること。
「誰の部屋?」
佑月は悪いと思いながらも部屋に入った。そこで机上にある物を見て、佑月は訝しげに眉を寄せた。
「これ……俺の?」
パールホワイトのノートパソコン。開かなくても分かる。佑月のパソコンには蓋を閉じた表面の隅に、小さな猫の足跡のシールを貼っている。それが今目の前にあるのだ。そこで佑月はハッと積み重なった段ボールに目をやった。
「まさか……」
恐る恐ると段ボールへと近づき、数個あるうちの一つに佑月は手を置く。心臓が激しく跳ねるのを感じながら、蓋を閉じるガムテープを一気に剥がした。
「っ……」
中を見て愕然とする。どれもこれも見覚えがある。いや、見覚えがあるのは当然だ。全て佑月の私物だからだ。
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