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美しい人 2

「あ、はい! 宜しくお願いします!」  受け取る際、緊張で震える指が伝わったのか、成海 佑月は優しく高田へと微笑んだ。高田の心臓はもはや限界の域に達しそうだ。もちろん顔も赤いのは自分でも十分過ぎる程に分かっていた。 (何やってんだオレは! 相手は男だぞ……。何、中高生みたいな反応してるんだよ。オレは至ってノーマルだし!)  高田は必死に自分にそう言い聞かせ、落ち着かせようとグラス一杯に注がれた水を一気に飲み干した。そして手元の名刺に視線を落とす。 『【J.O.A.T】オフィス所長:成海 佑月』  事務所の番号と携帯番号が記してあるごく普通の名刺。 「JOAT……?」  ほぼ独り言で呟いた言葉に成海がクスリと笑う。 「Jack of all trades日本語では〝何でも屋〟と言います。略しただけです」 「ああ! なるほど」 「うちの従業員が付けてくれたんです。よく使われる名前ですがね」  そう言って苦笑する男の姿に、またしてもボーッと見惚れていた高田は慌てて内心で首を振った。

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