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美しい人 3

「私はカッコいいと思いますよ。あっ……えっとすみません」  高田はまだ名刺を渡していない事を思い出し、急いで成海へと名刺を差し出した。 「ありがとうございます。あ、高田さんトヨダの営業なさってるんですね」 「ええ……成績は全然上がりませんが……」  口下手もあり、なかなか交渉が上手くいかないのだ。ならばなぜ高田はわざわざ営業マンになどなったのか。  トヨダは世界に誇る大きな自動車メーカーだ。故に、親を安心させたかった、というのが一番の理由だったのかもしれない。だが、営業マンは車を売れば良いだけの仕事ではない。アフターケアも重要だ。そういった細心の気配りに、お客様の喜ぶ姿は、いつも高田に充実感を与えていた。そう思うと、やはり自分は今の仕事が好きなんだと言えるのだろう。 「でもお仕事は好き。そう言ったお顔をされてますよ」 「そ、そうでしょうか……」  他人に的確に自分の気持ちを突かれ、高田は何とも気恥ずかしくなった。

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