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怪しい依頼
◇
沢山の高層ビルが建ち並ぶ静かなオフィス街から少し抜けて、ファミレスなどの外食産業が目立つ街並み。
そこに【J.O.A.T】(ジョート)のオフィスはある。
雑居ビルの二階に事務所があり、広いとは言えないが綺麗に整頓された事務所内は、とても快適な所と言えた。
夕方の事務所内で成海佑月 は一人、自分のデスクではなく来客用のソファ席でコーヒーを飲んでいた。
そろそろ帰ってくる時間だと、壁掛けの時計へと顔を向けた時、タイミングよく「たっだいまー!」と元気な二重奏が聞こえてきた。
「お帰り。陸斗、海斗」
「はぁ~佑月先輩の顔見たら癒される~」
「だな。今回は結構キツかった」
二人は鏡に写したかのようなそっくりな顔で、佑月の対面するソファへとどっかりと崩れ落ちるように座った。
「お疲れ様。今回は本当に悪かったな。二人に任す形になって……」
佑月は眉尻を下げ、二人に頭を下げた。
「全然大丈夫ですよ! 佑月先輩だって依頼があったわけだし」
「そうですよ。それにあんな所に佑月先輩が来なくて良かったですしね」
「……どういう事?」
確か二人が行った今日の依頼は、会社勤めのサラリーマンのアパートの部屋の掃除だったはずと、佑月は二人が来ている青い作業着のつなぎに視線を遣った。
お揃いのつなぎは、お世辞でも綺麗とは言えない程にどろどろになっている。綺麗好きの二人の作業着は常に綺麗だ。それがこの汚れっぷりだ。現場が相当汚れていたことが窺える。
「もう部屋全体がゴミだらけでしたよ! まさにゴミ屋敷! 玄関開けた瞬間に腐臭やらなんやらで、吐きそうだし、目も痛かったしで散々でしたよ!」
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