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怪しい依頼 5

「そう言えば佑月先輩、今日の依頼の預り物って何だったんです?」  花が淹れたお茶を飲みながら、ソファ席で四人寛ぎタイム。佑月の正面に座る陸斗が訊ねてきた。 「あ、そうそう。これなんだけど」  ライターを(かたど)った物を、テーブルの上にコトリと置くと、三人は一斉に身を乗り出してきた。 「なんすか、これ。ライター……ですよね?」  海斗がライターを手に持ち、感触を確かめるように指で触れる。 「USBメモリ。蓋をずらすと接続口が出てくるんだよ」 「USBメモリ? あ! 本当だ」  海斗は言われた通りに蓋をずらす。  すると、現れたポートに三人は同じように驚いた。 「中身は何なんですか?」  隣に座る花が間を詰めながらする質問に、佑月は首を振った。 「分からない。依頼人もUSBメモリだって事を今日知ったからな……」  依頼人の高田 正典は、預り物がUSBメモリだと分かるや否や、途端に顔色が悪くなり、半ば強引に佑月へと押し付けるように託してきたのだ。 「マジですか……? 依頼人が知らずに預けてくるって、何か変じゃないですか?」  陸斗が言う。 「まあね。しかもそれは、依頼人が友人から預かった物でさ、自分じゃ無くしそうだからって事で、一週間預かって欲しいっていう依頼だったんだ。しかも友人には黙っての事らしいし……」 「えー、友人に黙って預けるとか、益々怪しい!」  花が頬を可愛らしく膨らませている横で、佑月は苦笑いをする。

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