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危険な男 2
気付くのが遅かった。
普段ならもう少し早く気付けたかもしれない。疲れた思考回路のせいで、背後に忍び寄る気配に気付く前に、佑月は鼻と口元を布で塞がれた。
「んんっ……!」
薬品の匂いはしなかったが、呼吸する術 を失い苦しくて悶える。
「さっさと運びだせ」
ドスのきいた低い声の命令により、佑月の身体は車へと引き摺られていく。
ここらはこの時間でもわりかし人通りも多いのだが、今日に限って人の気配がなく、佑月はますますと焦った。
「んー……」
焦る中、佑月は素早く視線を走らせた。
きっちりとスーツを纏った男が三人。堅気でもないような、でもヤクザにも見えない。妙な雰囲気を纏う男たちに、佑月の背中に嫌な汗が伝っていった。
「んん……!」
身体をがっちりと拘束され、為す術もなく車の後部座席へと放り込まれる。車内で猿ぐつわと目隠しをされ、両手は後ろ手に拘束までされてしまう。妙に慣れた手つきだった。
どれだけ走ったのか、目的地に着くと佑月は直ぐに車から引き摺り降ろされ、建物らしき中へと連れていかれることになった。
「ほら、さっさと歩いて下さい」
「んんっ!!」
目隠しをされて、まともに歩けるはずがない事を訴えたいが、口を塞がれているためそれが叶うはずもなく。そうこうしていると、エレベーターに乗せられたようだ。
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