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絶体絶命 2

「佑月先輩? その須藤がどうかしたんですか? 言っておきますが、あの男はとんでもなく危険な男なんです。変に調べたりして関わるのはやめて下さいよ」  怖いほどの真剣な目で訴えてくる陸斗に、佑月は唾を飲んだ。 「そうですよ。あの男は極道の世界からも一目置かれ、(おそ)れられてもいます。うちのじいちゃんや親父も組に入れたいって言ってる程ですから」 「そう……なの? あの男は一体何者なんだ?」  思わず声が詰まる。 「一応表向きは、高級クラブやらを何件も経営して、不動産関係も手掛けてる青年実業家なんて言われてますけど、裏では政財界とも密接に繋がってますし、裏社会でも顔はとても広いです。とにかく頭が切れて、下手な小細工なんてもんも通用しませんから」 「しかも須藤の配下は日本国全土にいるらしいですからね……。武力にも()け、頭もいい。警察にもマークされてますが、しっぽを掴ませない。マジで恐ろしい男ですよ」  日本国全土。どうりで情報収集が速かったわけだ。二人から聞かされた須藤という男の実態に、佑月は今度こそ青くなった。  ではそんな男がなぜ、あの時強引にでもUSBメモリを奪わなかったのか。やはりそれが不思議で仕方なかった。 「佑月先輩、本当にどうしたんですか? そんな大物の事を聞いてくるなんて……まさか何かあったんですか!?」  陸斗の焦った声を聞きながら、佑月は必死に頭の中を整理していた。  陸斗らに迷惑を掛けてしまうのは避けたい。でも、須藤がいつ仕掛けてくるかも分からない。ちゃんと二人に話をして、何かあった時の備えはあった方がいい。  陸斗らに降りかかる危険が、少しは回避出来るかもしれないからと、佑月は意を決して二人に昨日の出来事を説明した。 「マジっすか……。あのUSBメモリが、まさかの須藤絡みだったとは……。それにしても佑月先輩、よく無事でしたね……」  海斗は心底ホッとした様子で息を吐く。 「須藤は冷酷非道な男です。刃向かう人間は無事ではいられませんから……。その須藤が佑月先輩を無傷で帰すなんて正直ビックリですが、本当に無事で良かったです」  陸斗も安心したように佑月の身体をサッとチェックした。二人の気遣いに心が温まった佑月は、二人に微笑むと、直ぐに表情を引き締めた。 「須藤がどういうつもりでいるのかは分からないけど、俺がUSBメモリを持ってる限り、必ずまた奴が来る。早く解決させる為に今日依頼人に会ってくるけど、くれぐれも気をつけてくれ……」 「大丈夫ですよ! オレらはそんじょそこらの一般人とは違うんです。花の事はちゃんと守るので安心して下さい。それよりも佑月先輩まさか一人で行くつもりですか?」  陸斗は眉を寄せる。 「うん。高田さん……今は少しナーバスになってるから、あまり大勢で行くのは良くない。それに事務所を空けるわけにはいかないだろ?」  そう言うと、陸斗と海斗は渋々と頷いた。

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