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戸惑い 3

「陸斗、海斗、花ちゃん。心配しなくても大丈夫。俺に危害を加えるなんて、そんな男の面目が丸つぶれになる真似はしないはずだから」  佑月は敢えてを強調して言う。  もちろん三人を安心させるために言った事だが、こういうプライドが高い男は、実際面子(メンツ)と言うものを重んじている。  他人に潰されるのも勿論だが、それよりも自分で潰す事の方が許せないはずだからだ。  須藤は佑月の挑発に声を殺して笑った。 「分かりました佑月先輩……。須藤さん、もし佑月先輩に傷の一つでも付けたら、絶対に許しませんから覚えておいて下さい」  裏社会では王とも言える相手。そんな須藤に脅しなど効かないが、陸斗は毅然と言い放った。海斗と花もそれに続くように、キッと須藤を見据える。  須藤はそれに対して何も答えることはなく、佑月の背中に手を添えてきた。 「じゃ、じゃあ、行ってくる……」 「はい、気を付けて」  そして佑月と須藤は事務所を後にした。 「ねぇ……あの須藤っていう男と成海さんってどういう関係なの?」  佑月がいなくなった事務所内で、花は困惑した顔で双子に問う。 「どういう関係って……関係なんてねぇよ。ただ……あのUSBメモリの一件であの須藤が絡んでた。それだけだ」 「そうだったの……」  これ以上は話すつもりはないといった海斗の様子に、花は追求するのを止めた。 「それにしても……佑月先輩。あんなに感情を表に出すなんて珍しくねぇか?」  海斗が陸斗に問う。 「ああ、それは確かに思った。あの須藤を相手に言い返す事にもビックリしたけど、それ以上に佑月先輩の“素”が出てたもんな。いつも自分を隠すのが上手い人なのに……。それに須藤のあの佑月先輩に対しての態度。もしかして、ヤバいかもな……」 「あぁ……」  陸斗と海斗は複雑な心境で、暫く立ち尽くしていた──。

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