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Wednesday 6
佑月は部屋のベッドに半ば放心状態で倒れ込んだ。
「何なんだよ……あいつ」
結局須藤の好き勝手な言動に、振り回されただけだった。 情人じゃないと言っていたが、佑月の意思など無視されていた。 勝手に所有物扱いするわで、 思い出せば思い出すほどに腹が立ってくる。
「……もう、今度の水曜は何を言ってきても無視してやる」
大きく息を吐き出して、勢いよくベッドから起き上がった佑月は、冷蔵庫から水を取り出しイッキ飲みをした。
「あぁ……スッキリ」
口内に残っていた須藤の存在を流せた気がする。
「……」
気がするのに、スッキリしたはずなのに、いつまで経っても消えない須藤の唇の感触。
「クソ……」
手の甲でごしごしと唇を拭いてみたけど、余計に甦ってきてしまう。
「……最悪」
須藤の思惑通りなる自分にも腹が立つのに、消そうと思えば思うほど、頭の中はムカつくほどに須藤の事でいっぱいになっていた。
あの嫌な記憶が甦る隙さえもないほどに──。
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