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Mission 5
「分かりました」
真っ直ぐ松本を見据えて返事をすると、松本は満足そうに笑みを深めた。
「ありがとうございます。ここまで協力して下さるなんて思ってもみなかったので、とても嬉しいです」
「いえ。向こうが本当に受け入れてくれたのかを確認出来るまでが、うちの仕事ですし」
「はい……」
そんな言葉を発しながらも、出会った当初、須藤に言われた言葉が佑月の頭に過 った。
『最後までしっかりと仕事をするその姿勢と、責任感の強さは大したものだと思う。だがな、状況によってはそれが仇となる事を忘れるな。特にお前はもっと自分を知るべきだ』
頭の中で何度も何度も繰り返される言葉。
だが須藤が何て言おうが、これは【J.O.A.T】の方針であるし、佑月の仕事でもある。 例えどういう結果に陥ってもだ。
佑月は須藤の言葉を振り払うように、水を一気に飲み干した。
それから今後のことも二人で話し合って、佑月らは解散した。
思ったよりも神経を使っていたようで、事務所に帰った頃には、ドッと疲れが出てしまっていた。
「ただいま」
「佑月先輩お疲れ様でした」
客がいないことを確認してからソファに佑月が座ると、直ぐに花が温かいお茶を入れてくれた。
「ありがとう」
「いえ」
はにかんで首を振った花は佑月の隣へと腰を下ろし、双子もソファに座った。
「で、どうでした? 上手くいきましたか?」
「……うん、まあね」
「何か問題でもあったんですか?」
苦笑する佑月に陸斗は心配そうに眉を寄せた。 佑月は今日の事と、今後の対策など三人に話して聞かせた。 話終えると三人は何とも神妙な面持ちで考え込んでいる。
「先輩、こう言っちゃなんですが、そこまでする必要ありますか? デートとか……」
「そうっすよ! 相手は認めたんですから、そこで解決でいいと思います」
陸斗に便乗して海斗にまで言われてしまう。
「うん。そうなんだけど、さっき話した通り、まだ完全に安心出来ないだろ? それに……」
訴え掛けるように二人を見据えると、二人揃って渋面を作った。
「佑月先輩の方針はちゃんと分かってます。先輩の真意も分かりました。だけど余計に心配なんです」
どうしたものかと、佑月は困ったように少し項垂れる。
みんなの理解を得られないと、流石に単独で行動するのはマズイ。
「佑月先輩、兄貴の言う通り──」
「もう! 陸斗も海斗も、成海さん困らせてどうすんのよ!」
花が痺れを切らしたような鋭い声を上げる。
それにすかさず反応して口を開きかけた海斗を、陸斗は 制する。
「兄貴?」
「花の言う通りかもな。佑月先輩を困らせてどうすんだって話だよ。すみません先輩。だけど、無茶だけは絶対にしないでください」
真剣な目を向ける陸斗に、佑月は頷いた。
「ありがとうみんな。いつも俺のワガママに付き合ってくれて」
振り回す事の方が多いのに、いつも付いてきてくれる三人に感謝の意を込め、佑月はゆっくりと頭を下げた。
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