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Serenity 7

──そんなバカな……。  切れていることなど、とうに分かってるはずなのに、愕然とする佑月の不意を打つように、須藤の手が寝間着の裾から侵入してきた。 「ちょ……何し──」  スルスルと感触を楽しむように撫でられる肌。ゾクリと身体が震える。  抗議したくても直ぐに口を塞がれて、須藤を引き離そうと胸を強く押したが、もちろんびくともしない。  そんな佑月の手首を掴むと、何を思ったのか須藤は指に舌を這わせてきた。 「や……やめ」  それがあまりにも扇情的に見えて、佑月の顔が熱くなっていく。 「今は完全に素面の状態だ。薬のせいなどに出来ない今のお前を、極上の快楽に溺れさせてやるよ」 「……何言って……そんなこと誰も頼んでないし、触るなよ……」 「成海。そもそも俺がお前に手を出されて、何とも思ってないとでも思ってるのか?」 「……そんなの……自分だって、やめろって言ってんのに、俺に手を出してるじゃないか……っ」  指を噛まれて初めて感じる妙な感覚に、佑月は慌ててその手を引いた。 「当たり前だ。俺にはその権利がある」 「あるか! そんな権利」  突っ込まずにはいられないセリフに、佑月は思わず反応し叫ぶ。  それはどんな権利なのだ。自分を私物化しているからか? それではあまりにも自己中過ぎる。佑月の意思など関係ない。佑月が須藤をどう思おうがだ。 「俺はあんたのオモチャじゃない」 「オモチャ? なんだ拗ねてるのか?」  須藤に背を向け、俯せになった佑月は拗ねてるようにしか見えないだろう。だが、佑月は須藤の顔を見て話す気になどなれなかった。 「拗ねてるんじゃなくて、事実を言ってるんだ。だってそうだろ? 俺の意思は無視。何でも力で抑えつけて」 「嫌ならお前はもっと拒絶するべきだな。違うか?」 「そうさせないようにしてるのは誰だよ!」  カッと頭に血が上って吐き捨てると、須藤は佑月の身体を強引に仰向けへと転がしてきた。 「当前だろ。欲しいものは全力で手に入れる。逃がしはしない。それが俺のやり方だ。言っておくが、これでもずいぶん配慮してるんだがな」 「言ってることがめちゃくちゃだ……。何で俺なんだよ……あんたならもっと他にいるだろ」 「お前だからだ」 「……え?」  佑月の乱れた髪をとかすように指を差し入れて、須藤は優しく撫でる。 「綺麗ってだけの人間なら、この俺がわざわざ他人のために動かない。以前にもお前に言ったはずだが? ただの情人(イロ)なら時間も費やさないと」 「……だから何でなんだよ」 「知りたいのか?」  そこで須藤はニヤニヤと嫌な笑みを見せてきた。ムッとした佑月はつい「べ、別に!」と口走っていた。 (アホかー! 知りたいくせに、何でこう俺は素直になれない) 「フ……お前、可愛すぎるだろ」  須藤はそう言うと、佑月の唇を優しく啄んだ。

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