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Serenity 8
何度も何度も角度を変えては、唇の感触を楽しむように啄まれる。だけど大人しくそれに応えたがために、須藤に火を付けてしまったようだ。
「ん……!」
いきなり深くなるキスに驚く中、須藤は佑月の……正しくは須藤に借りてる物だが、その寝間着のボタンを素早く外していった。
(ちょっと待て! 何でボタン外してんだよ!)
「……んん」
じたばたともがくが、しつこいキスと両手をシーツに縫い付けられ思うように動けない。
そんな佑月にはお構い無しに、須藤の唇は首筋から鎖骨へと滑るように落ちていく。
「ちょっと……須藤さん、何してるんだよ! 誰がそこまでしていいって……」
須藤の頭に手をやって押し退けようとするも、直ぐにその手は掴まれてしまう。
「俺がヤりたいからだ」
「ヤりたいって、俺は男とする趣味はないから離せって」
「直ぐにクセになる」
「ならないって!」
怒鳴るも無視されて鎖骨を噛まれる。
「いたっ噛むなよ!」
「ヤる前から決めつけるな」
「ヤらなくても分かるって」
「ふーん」
ニヤリといつも以上に悪い笑みを浮かべた須藤を見て、ゾッと震えが走った。
「なら、さっきここで感じていたのは俺の見間違えか?」
乳首を摘ままれた上に、そこを爪で引っ掻かれる。
「っ……! そ……うだよ……見間違いだよ」
嘘だった。本当はそこから走る電流に、頭の芯が痺れそうになっている。やっぱりおかしい。
「頼むから触るなって……」
「クセになるか、ならないかは一度経験してから判断しろ」
「何言ってんだよ。触るなって言って──」
「うるさい口だ」
「ん……ふ」
言葉通りに須藤は、佑月の口を口で塞いできた。
(何がうるさいだよ。何がクセになるか、ならないかだよ。ならないに決まってるだろ!)
一人憤慨する佑月だったが、須藤の唇と手に触れられる肌は、自分の意思に反して熱く火照っていった。
「お前の肌は本当に滑らかで綺麗だ。今後俺以外の者には触れさせるなよ?」
「……何言って」
「お前はもっと愛されることに慣れるんだな」
「何だよ……それ」
「分からないか?」
「……分からないよ……っ」
話ながらも、須藤の手は佑月の肌をなめらかに滑っていく。
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