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Serenity 11

 元気がなくなった佑月の息子に、須藤は再び手を伸ばす。 「ちょっと……もういいだろ」  ギョッとする佑月を余所に、須藤は眉をひそめる。 「は? これからがいいところだろうが」 「な、なんでちょっと逆ギレ気味なんですか」 「お前が下らない事を言うからだ」 「下らないって何が……あぅ!」  人が抗議してるというのに、須藤は佑月の息子の首を締めるように、少し強めに握り込んできた。  自分の大事な息子が人質に取られた気分だ。 「一回イッただけで終わった気でいるな」 「い、いいですって! 一回で十分です」  今日一日だけでどれだけ出したと思っているのだ。もう出ないし、これ以上されたら本当におかしくなりそうだった。  しかも佑月は全裸で、須藤はバスローブのままというのも、何か変な温度差を感じていた。だからといって、脱がれても困るわけだが。 「何を考えてる?」 「べ、別に」  顔を覗き込まれ、佑月は慌てて目を逸らす。 「そのうち何も考えられなくなるがな」 「え?」  スッと佑月の目の前から須藤が消える。  小さくて聞き取れなかった言葉を追うように、上半身を起こそうとした時。 「うわっ!?」  再び背中がベッドに戻されたと同時に、須藤が佑月の脚を大きく割り開いた。 「ちょ、ちょっと待って! そんなとこ……!」  愕然とする佑月を置いて、須藤はとんでもない箇所に舌を這わせていた。 「汚いからやめろって! なに考えてるんだよ!?」 「お前の身体なら、隅々まで綺麗に拭いた」 「そういう問題じゃなくて……あっ!」  ぬるりとしたものが後孔に差し入れられ、何とも言えない感触に佑月の腰は逃げる。  もう何もかもが信じられなかった。自分のモノを咥えただけでも驚愕ものだというのに、それを……。  しかも佑月の意思など無視をして、息子が勝手に元気になっているという有り様。  こんなこと、佑月にとって正直考えられないものだった。  今まで男に触られる嫌悪は相当のものだった。死に物狂いで抵抗して、そのせいで殴られたりはしたが、殴られる方が数倍もマシとさえ思っていた。  なのに、なぜか佑月は須藤を前にすると本気で抵抗出来ない。  確かに軽く扱える相手ではないし、恐ろしい人間だ。だけどそれだけではなくて、なぜか須藤には嫌悪を感じない。  須藤のことは苦手だし、関わりたくない。  それに偽りはないのに。なぜこんな事をさせているのか。  ましてや男となど、絶対に考えられないのに、実際こんな事になっている。  自分は一体どうしてしまったのか……。

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