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  ひとだかりをかき分けるようにでてきた長身の男がみえたと思ったら、怒鳴られた。 「黎様、こんな公衆の面前でなにをなさっているのですか!」 ソレが執事長だと気がついたときには執事長に腕を掴まれていて、雪梅から引き剥がいた。そして、引きずるように僕の身体を引っ張るとひとだかりから僕をつれだしていた。 そんな執事長の顔が物凄く怖かったのはいうまでもないが、僕の歩調などお構いなしにどんどん歩くのはいただけなかった。とはいえ、僕も頑張って歩いたが、結局途中から力尽きて引きずられていた。僕の後ろにいた雪梅が僕の身体を持ち上げてくれなかったら、完全に僕の身体は地面につき顔面から引きずられていただろう。 「セバス、待て!」 雪梅が見兼ねて、犬に号令するように怒鳴る。ソレでようやく振り返る執事長は僕が雪梅に担がれているのをみて、青ざめた。 「黎様、申し訳ありません。お身体は大丈夫でしょうか?」 さもやお腹の子に気を遣う口振りに、僕は手荒く執事長の手を振り払った。よく解らない感情が渦巻いている。嫉妬に近いこの黒々としたモノが物凄く気持ち悪くって、僕は怒鳴った。 「僕に触らないで!」 執事長の顔が強張った。僕が執事長の行動に腹を立てたのはコレがはじめてで僕自身でも驚いているというのに、手荒く拒否られた執事長はなおさら驚いているようだった。なん度も僕に謝って僕に触れようとしてくるが、僕もどうしてイイのか解らずそんな顔しても知らないと外方を向いて、抱えてくれていた雪梅に抱きついた。 「……あの、黎様………」 戸惑う執事長の声はしょんぼりで、僕はそんな執事長の声を聞きたいとは思わなかったからわざとみえるように両耳を両手で塞いだ。すると、なぜだか雪梅の方が眉根を潜める。ソレが嫉妬だと直ぐに解ったが、僕もそう気遣ってあげられるほど冷静じゃなかったから、なんでそうやって直ぐにヘソを曲げるんだと雪梅の胸に顔を押しやった。 グリグリと額で胸を擦ると、急にお腹が痛くなってくる。今までの腹痛とは違って明らかにおかしな痛みだった。 「………い、だい……!」 両耳を塞いでいた手をお腹に廻して、うずくまる格好で雪梅の腹部に沈み込む。息も荒くなって嫌な冷や汗をかいていた。ソレで慌てだすのは、執事長の方だった。 「黎様、大丈夫ですか!」 そして、その声に反応したのはヘソを曲げていたハズの雪梅だった。とはいえ、僕が体調を崩したときはヘソを曲げていても僕の体調を優先することが多かったからそう驚きはしなかったが、執事長がココまで取り乱すとは思ってもいなかったから僕は心配で執事長の方をみた。 「セバス、そんな大声をだすモノじゃないよ。れいが吃驚しているだろう」 雪梅にそう諭されて、執事長ははっと息を呑んだように我に返った。そして、深呼吸をひとつするとクルリと踵を返した。 「看護師を呼んできます」 「ああ、任せたよ。個室で待ってる」 冷静にそう応じた雪梅は、僕を担ぎ直してから歩きだした。額から大量の冷や汗を流してウーンウーンと唸る僕に、雪梅は大きく息を吸ってと僕の呼吸をコントロールする。雪梅にいわれたように息を吸ってゆっくりと息を吐きだすと幾分呼吸は楽になってきたが、お腹の痛みはどんどんと増していくばかりだった。 腸が縮小したりうねったりして、便通が悪かったときに起こる腸の動きに、僕は雪梅にトイレと小声でいった。雪梅は頷くと僕をトイレにつれていってくれた。大きな個室に入って雪梅は僕のズボンと下着を脱がした。性情のときには必ず僕にしてくるれることをさらりとされてしまうと、僕の身体はソレを望んでいるかのように下半身を熱くさせる。 腹痛でのたうち廻っているというのにと、僕は自身の下半身をなじるのだが、雪梅はビデに僕を跨がらせたらもうそうとしか考えられなくなってしまっていた。排便のアレはどこにいったとふたたび理性を呼び覚ますが、雪梅はゆっくりと僕の蕾に指をあて丁寧に外や内部を洗いだしたら、その理性もいっきに吹っ飛んでしまった。 「………や、…………せ、………っか…!」 ビデは肛門にお湯を噴射させて洗うタイプ(家のビデは溜めて手で洗うタイプ)らしく、勢いよく僕の蕾にお湯をかけられるから、もどかしいと僕は腰を振ろうとする。そんな僕を雪梅はキスをして制止させようとするが、ソレは完全に裏目にでてしまった。 「……あ、……あっ……!、…せっ、か、……も、と…おぐ……!」 お腹が物凄く痛いのになにやってんだと思うが、もう身体はできあがっているらしく雪梅を欲しがっていた。僕の中が柔らかくなると雪梅は大きく蕾を指で開かせて、勢いよく蛇口を捻った。お湯が腸の奥まで入ってきて僕は首を振る。 「………ダメ…………!!」 雪梅は尽かさず蛇口を緩めて、今度は隣にある便座に跨がらせた。勢いよく中からお湯といっ緒に排泄物がでてくる。その繰り返しをなん度もされて、腸の中が綺麗になったところで雪梅は僕の身体を抱えあげた。 ──ああ、コレでと僕は物凄くその先のことを期待していたら、雪梅は僕の下着とズボンを穿かすとデビを綺麗に洗って、僕を抱えて個室からでた。僕は流石に病院のトイレではできないよねと苦笑いをして、渋々雪梅にしがみつくのだった。  

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