32 / 109
32
再三イカされて、僕の声はもうまともにでていないというのに僕は雪梅を求めて哭き続けた。
ぐちゅぐちゅと肉壁の中を丹念に雪梅の男根に掻き廻されて、僕は必死に雪梅の首にしがみつく。ずぐずぐになった下半身は、まるで雪梅に泣かされているようであった。
「れい?どう?気持ちイイ?」
雪梅のすべてを受け入れている僕はこくこくと頷いて、もっと奥を擦ってと雪梅の腰に脚を巻きつけて雪梅の男根を奥に誘い込む。
すると、ドア向こうからノックする音が聞こえてからガチャリとドアが開く音がする。歯切れの悪い父様の声が聞こえてきて、僕の頭はいっ瞬のうちに正気に戻ってしまった。
「あの、雪梅くん、悪いんですが、もう約束の時間はとうに過ぎてんですけど………」
「……ぃや"!……どうざま………!」
僕は悪いことをした子供のように慌てて雪梅から退こうとするが、雪梅はそんな僕のことをまったく許してくれなかった。手足を掴まれて、ココぞとばかりに腰を突きあげてくる。そして、気持ちイイところばかりを擦りつけられるから、僕は父様の前であられもない姿でのた打ち廻るはめになった。
「み"、だぃで!」
興奮というよりも恥ずかしい方が勝るのは、父様が僕の理想の人だからだろう。とはいえ、尊敬が主に占めているから、執事長は憧れともとれるといっていた。
「あ、ゴメン……」
父様は慌ててドアを閉めようとするけど、思いだしたみたいにドアを開け直した。なにと怖い形相をするのは雪梅で、もうあっちいってと恥ずかしがるのは僕だった。
「………えっと、コレって合意でイイのかい?」
僕に発した言葉なのか解らなかったがそうだよと雪梅といっ緒に睨みつけたら、父様は嬉しそうにソレじゃ、書類用意して待ってるからとドアを閉めてでていった。なんだかもうどうでもよくなってしまった僕は、完全に身体の力が抜けてしまう。
突きあげていた雪梅までもが僕のどうにでもして態度に、腰を緩めた。揺すられて気持ちイイとは思うのだが、僕はこういう状態になってしまうと萎えるのが早い。
「ぜっが、ごめん。………なえだ………」
せっかく盛りあがっていたのに本当に申しわけないと思った。だから、この続きはまた今度にしようと雪梅の男根を引き抜こうとするけど、楔状になった雪梅の亀頭は僕から抜き取れやしなかった。
「…ゴメン、れい、いっ回ださないと抜けない……かもしれない………」
ぎちぎちの男根がこの収まりを求めていると情けなく呟く雪梅に、僕は肩を落とす。たしかにいち度火がついた雪梅のモノは精子を吐きだすまで暴れ続けていた。同時にソレも思いだして、僕は泣きそうになる。
「……うぞ………」
「嘘じゃないよ。こんなことで嘘ついてどうするんだい?」
ほら、しっかりと絞めつけてと強引に腰を揺さぶられたらもうやるしかない。できるだけ早くイって貰おうと肉壁で雪梅の男根を絞めつける。
こんなテクニックがあるとは思ってなかった雪梅は僕にこう訊く。
「れいって、今日が初めてじゃないの?」
と。
僕としては散々雪梅に抱かれているからいまさらなにをいってんの?という顔で、「ざんざん、ぼぐのごどぉだぁいだでぇじょう?」と応えた。雪梅はなんのことという顔で首を傾げて、「れい、今日が私との初夜でしょう?」というのだ。
「はぁ"あ"?」
掠れた声で間抜けな声をあげると僕と雪梅は顔をみ合わせて、お互いに首を傾げだす。そして、僕は妊娠していたことを思い出すのだ。
「あ"!ぼぐ、にんじんじでぇるげど、ごんなごどじでだいじょうぶなの?」
いまさらという感が物凄くあるが少しでも軽減できるならと思っていったら、逆に雪梅の押してはいけないスイッチをもろに踏んだらしい。雪梅は眉根を深く潜めて、ソレはもう怖いくらい低い声でいい放つのだ。
「───妊娠だと!!」
「…………がっ!!」
ソレと同時に僕が声にならない声をあげたのは、雪梅が僕の身体を反転させて、僕のうなじを本気で噛んだからだ。その容赦のない噛みつきは、もう痛いというモノじゃなかった。
「──ぜっ、が!!──やめぇで──!!」
そう叫んだと思われるが、僕は乱暴に雪梅に抱かれて意識を手放してしまっていた。
ともだちにシェアしよう!