44 / 109

44

  雪梅から渡されたメモリーを大事そうに握りしめる天夢に、雷梅は目くじらを立てる。 「天夢くん、ダメだよ。そういうモノは子供がみるようなモノじゃないんだよ」 そういって天夢が握りしめているメモリーを取りあげると、「雪梅、天夢くんになってモノを渡しているんだよ」と叱るが、雪梅は雪梅でとても涼しい顔で「兄さん、コレは歴とした性教育だよ。親に隠れて、こそこそとこういうことされるよりもオープンでガンガンやって貰った方が親としては安心でしょう?」とソレはもうもっともらしいことをいっているが、「ほら、こういう体勢でやればもっと気持ちイイとか、ほかにもいろいろと直接アドバンスができるでしょう?」とつけ加えるから、そうでもないことだと気づいた雷梅はやはり大激怒だった。 「まったく持って、悪環境じゃないか!!」 「もう、心外だな、兄さん。コレでもちゃんと自重しているんだよ」 ヒートのときのれいはこの十倍はクソエロいし、私が根負けするくらいなんだ。ざっといっ週間は解放してくれないだよと雪梅はしんみりというが、鼻の下がだらりと伸びている顔をみるからにのろけとしか聞こえてこない。しかも、屋敷のあちこちでアンアンやらパコパコなどやっていたら、自重もへったくれもないだろう。青姦の味をしめた雪梅は青姦バンザーイなのだから。 「ああ、解った解った。俺が悪かった。頼むから密閉された部屋でやってくれ」 そう雷梅は額を押さえて首を振る。だが、雪梅はもうそのシリーズは僕が癇癪をあげた五年の間に撮りまくったからイイといいだす。 「兄さん、悪いね」 たしかに、全五十巻にもなるあの超大作の監禁拘束シリーズには僕も圧巻した。しかも、僕ひとりでこっそりと自慰していたマル秘映像までオプションについているのだから、僕はもう恥ずかしくってお蔵入りにさせて欲しいくらいなのだ。なのに、コレは天夢が誕生した決定的な映像だからといって、雪梅も執事長もソレを許してくれなかった。 雷梅はコレはダメだという顔をして、今度は僕に視線を向けてどうなの?と伺いを立ててくる。 「黎くん、黎くんは俺のいうことちゃんと聞いてくれるよね?」 だが。 「ゴメン、雷梅、僕も密閉された部屋は勘弁して欲しいかな」 雪梅に引き続き僕までそういうから、雷梅は僕を睨んできた。そう睨んでも仕方がないことなのにと僕は溜め息をついて、こうつけ足した。 「ほら、密閉された部屋ってこんくらいの箱に詰め込まれた感じに似てるじゃない?そんな隙間もない箱に雪梅とふたりで閉じこもったら、もうヤりたい放題だと思わないかな?雷梅には悪いけど、四六時中アンアンって哭いても叱らないでよ?」 と。そして、僕はホームビデオの中で雪梅にアンアンと哭かされている映像のところを雷梅にみせながら、「コレよりも、酷く哭かされそうなんだ」と体位や密着度を考慮に入れて話しだす。すると、雪梅がソレは斬新なアイデアだと、早速ふたりが入れるくらいの密閉された箱を準備しようというのだ。その上、撮影のために小型カメラも買うという。コレはもうアンアンではなく、ひいひいと哭かされるなと思いながら、「僕は物凄く嬉しいけど、ソレって雷梅に怒られるんじゃないの?」と雪梅に訊きながら雷梅の方をみたら、雷梅は物凄く無表情で天夢を抱きあげていた。  

ともだちにシェアしよう!