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  「ん?どうしたの?」 天夢はきょとんとした顔で雷梅の顔をみあげると雷梅は、「俺の部屋で今後の話し合いをしようじゃないか?」というのだ。 「こんごのはなしあい?」 そう口にして、天夢は首を傾げる。そして、「それって、らいかがしたいようにすればいいことじゃないの?」とつけ足していた。 雷梅はソレを聞いて口端を引き吊らせる。雷梅にしてみれば、天夢には選択肢も拒否権もないといわれた気がしたのだろう。とはいえ、実際にはそうなのだから仕方がない。天夢には雷梅とは結婚はしないという約束に関して以外は、選択肢も拒否権もないのだ。 「そうだね、ソレも含めてちゃんと天夢くんと話し合いをしたいんだよ」 雷梅はそういって、もういち度天夢に同意を求めていた。が、天夢はさらに首を傾げる。 「うん?それって、ぼくがやくそくをやぶるかもしれないってこと?いっとくけど、ぼくはらいかがきめたことにいろんするきはないよ?」 わけが解らないと、物凄く深く眉間にシワを寄せる始末だった。 「だから話し合おっていってんだよ。俺にいち任することは構わしないけど、天夢くんの意見も聞きたいって俺はいってんの?解るかい?」 雷梅は雷梅でどうしても天夢と話し合いがしたいらしく、天夢を困らせる。その天夢は、雷梅と話し合うことはないらしくこういうのだ。 「そういわれてもさ、つきあうもわかれるもらいかしだいなのになにをらいかとはなしあうひつようがあるっていうの?」 と。確かに天夢は雷梅とつき合うことになったときにそんなことをいっていた。別れるのも雷梅の気持ちひとつなのだ。 「あのね、天夢くん、俺は天夢くんと話し合いがしたいってお願いしてんの!」 ソレでようやく天夢は理解したらしく、「ああ、ごめん。ぼくがいっぽうてきに、らいかのはなしをきけばいいってことだね。もうだったら、はなしがあるからきけっていってくれたらいいのに。はなしあおうなんていうから、ぼく、こまっちゃったよ」と天夢はまったく雷梅の気持ちを理解していないようだった。雷梅は溜め息をひとつ吐くと、いっ拍おいて応じた。 「解った。俺もそう折れることにする。だから、天夢くん、俺の話を聞いてくれないだろうか?」 「うん、かまわないよ。で、はなしってなに?」 ココでしろとばかりに、天夢は話を切りだす。雷梅としては、ふたりっきりで話したかったらしくってココでかい?と顔をするが、せっかく天夢が聞こうって態度になっているのに水を差すわけにもいかないから、渋々口を開く。 「───いや、その、雪梅と黎くんの性癖にケチをつけるわけじゃないんだけど、俺は天夢くんの将来が心配なんだよ」 「どうして?」 「どうしてって、生々しいというか、エグさからいっても俺はそういうことを天夢くんに強要することはないから、こういうのをみて勉強したり、知識を肥やさなくってもイイだよ」 「───そう?」 スポンジのようになんでもかんでも吸収する天夢にとって、ソレは酷なことだ。だが、雷梅にそういわれたら天夢はソレを聞く必要がある。 「わかった。こんご、こういうちしきはふやさないようにどりょくするよ」 「うん、助かるよ。じゃ、約束─」 雷梅はそういって、小指を天夢に差し出した。天夢も小指を差し出して絡ませると、承諾と親指同士を重ね合わせる。すると、天夢は僕と雪梅の方を顧みてこういう。 「とうさま、かあさま、そういうことだからこれはかえすね。らいかはじゅんぱくなほうがこのみらしいから」 と。いつの間に雷梅から奪い返したのか、そのメモリーを投げてよこす。雪梅はソレを上手に受け取ると「いつでも借りにきなさい」と返していた。雷梅は天夢の言葉にたじたじだった。 「て、天夢くん!違うって!!」 「ん?ちがうっていわれても、いまさらやくそくをたがえたりひるがえしたりはしないよ。ちゃんとこくいんもおしあいっこしたんだし」 天夢は呑気にそういって、指切りは死罪だともいってまったく聞く耳を持ってくれない。雷梅も雷梅でそうムキになることじゃないのに、ムキになって弁解していた。 「俺はそんな性癖はないよ!俺色に染まれなんてことも絶対にいわないから!」 「おれいろ?なに、それ?らいかって、あがべーきらいだったの?らいじんはきみどりいろのきれいなはなをさかせるのに」 「ら、雷神?あ、アガベー?」 そんな雷梅はしばらくの間なにやら考えていたようだったが、「気高い貴婦人」と短く呟くと天夢の身体を担ぎ直していた。あ、雷梅、スイッチ入ったなと僕は遠目で天夢と雷梅をみていたら、雪梅が天夢もなかなかやるなとうんうんと頷いて感心しながら目を輝かせていた。そんな雪梅をみて、僕は物凄く嫌な予感しかしなかった。 そして、雷梅といったら、さっさと天夢を担いで部屋からでていってしまっていた。自室に向かっていると解った地点で、執事長もそのふたりの後ろをホームビデオを廻しながらついていっていた。雪梅は雪梅でその間いそいそと僕の身体を持ちあげて、バスルームに向かおうとしている。たぶん、精液でベタベタの身体を綺麗にするためだ。だからけっしてバスルームでもういっ戦ということはないとは思うのだが、雪梅のことだからあり得るかもしれないと僕はチラリとみた。 「ん?なに?」 「天夢、うまくやれるかな?」 僕たちもあのふたりに便乗してヤるの?とは、さすがに聞けない。遠廻しにそう聞いてみたら、雪梅は当然という顔でこう返すのだ。 「大丈夫だろう?相手は、兄さんだ」 と。そして、そういうと雷梅は僕の唇にキスを落として、ソレよりも私たちのいまを考えよという。ああ、やっぱりそう来るかと僕は心の中で思いっきり嘆息するのだが、雪梅に甘い僕はそうだねと返すと雪梅に抱きついて、そのキスに応じているからもう世話がない。 第いち部─END─  

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