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弐拾弐
「え?雪梅、男夢魔なの?」
僕がキョトンとした顔でそう聞き返すと、曾祖父は静かに頷いて、「本人がそう自覚していないからそうだと知らせたくないんじゃよ」ともいう。こういうモノは本人が自覚しないとどうしようもならないらしいのだ。
だから、雪梅が人間であると思っている以上はそうだということにしているらしい。そう、曾祖父の性格上、あ、思わずいっちゃったということになりなねないから、意識がある雪梅とあまり接触をしたくないらしいのだ。
「ま、そういうことなんでのぅ!嫁よ!くれぐれも口を滑らせるでないぞえ!」
曾祖父はそう僕に釘をさして去っていったが、僕はその約束を数秒足らずで無に返していた。
つまるところ、目を覚ましたばかりの雪梅に僕は洗いざらい話してしまっていた。そう、僕は曾祖父の約束よりも雪梅の約束の方が大事だったからだ。
『コレからはなんでも話そうね♪』
そういって雪梅と指切りした僕には雪梅に隠しごとなどできるハズがなかった。
「私が男夢魔?」
「うん、そうだって、曾祖父様がそういってた。男夢魔は下級生悪魔だけど、僕といっぱいセックスをしていたら、死ぬことはないって♪」
今回は、その植えつける精液が上手に生成できなかったから引きつけ痙攣を起こしたらしいのだ。曾祖父曰く、精力のある食べ物をたくさん食べて、アンアンしろっていってたと報告すると、結羽は物凄く呆れた顔をしていたが、僕に甘いから「仕方がないな、曾祖父ちゃまには結羽が上手くいっといてあげるよ♪」と物凄くばっちこいな精神で僕の尻拭いをしてくれた。
雪梅は雪梅で、僕が物凄く雪梅が男夢魔だということに喜んでいるから、拒絶反応もなく身体が自然と男夢魔だということを受け入れたみたいだ。愛の力は偉大だなとキラキラとした瞳で目を輝かせていたら、雪梅が「心配をかけて、ゴメン」と僕にキスを落としてきた。僕は当然ソレを受け入れて、う~んと甘いキスをいっぱいして貰った。
さて、ああだこうだと長々とキスをしていたら、急におしっこにいきたくなった。そういえば、アレからずっと泣いてはいたが、ちゃんと水分補給をしていたから、自ずとそういう自然現象は起こる。コレがドラマや劇などだったら早々とカットされる部分だろうけど、僕にはそういう機能が装備されていないから、このおしっこがしたい現象は着実に僕に差し迫っていた。
そして、こういうときだけは雪梅も結羽も察知してくれない。いや、察知していても気づかない振りをしているのだろう。よって、僕は雪梅と枷と首輪と鎖で繋がっているから、こういう状況になったら雪梅にいわないとつれていってくれない。
だから、恥ずかしいといってもじもじとしていたらなおさら雪梅と結羽の思う壺である。ましてや、こんなところで粗相などしたら、今後のセックス事情が変わってきそうなのだ。
僕は足踏みをしながら、小声でトイレにいきたいと雪梅に告げた。すると、雪梅は意地悪そうな顔をして、いいモノがあるんだと僕から離れると備えつけの棚から尿瓶をだしてくる。
おいおい、どんなホテルだよと突っ込みたいのはやまやまだったが、すぐさま用意周到な執事長の存在のことを思いだして、僕は大いに眉間にシワを寄せた。
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