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肆拾
雪梅が着替え終わるまで大人しく待っていた僕はもうどうやって哭かされようかちと、ひとりそわそわしていた。
「ん?待ちきれない?」
そんな僕の姿をみて、雪梅は愉快そうにそう聞いてくるから、僕は素直に頷いた。そして、早くみようと雪梅の腕を引っ張る。すると、雪梅は嬉しそうに僕を担ぎあげると、ソファに座った。
「ねぇ、セバス、まだ?僕、早くエリック・ワールドがみたいんだけど」
目の前では執事長がいそいそとスクリーンの準備をしている。もうすぐ開演だけど、目の前にある大きなスクリーンはなにも撮しだされていなかった。
「申し訳ございません。開演が少しばかり遅れているようです」
執事長はキー操作をしながら、いまのコンサート会場の状況を確認していた。そう、癇癪持ちの僕がエリック・ワールドのコンサートをちゃんとみにいけるワケがないのだ。だから、特別優待席というチケットをわざわざ購入している。
コレは有料配線で、購入したアーティストのコンサートがみれるという優れたモノだ。コンサート料金よりも格安だからさまざまな人が利用している。コンサートのあのいっ体感や熱気を堪能することはできないけど、コレはコレで意外に楽しめた。
「ふっふ、じゃ、コンサートが始まる前に準備運動でもしておく?」
あまりにも僕がそわそわしているから、みかねて雪梅は僕に助け船をだしてくれる。が、僕は頗る気持ちイイを最高潮で堪能したいから、首を振った。
「うんうん、僕、エリック・ワールドをみながらしたいから我慢する」
「そう?でも、れいの中、物凄く待ちきれないってきゅうきゅうって絞まっているよ?」
雪梅はそういって、僕の蕾の中に中指を挿し込んできた。確かに、僕の中はきゅうきゅうと絞まって雪梅のモノを欲しがって哭いている。
「───んん、………らぁめ!」
骨ばった中指をくの字に曲げられてゆるゆると中をかき混ぜられたら、僕はもう我慢ができずに腰を少し浮かせてゆるゆると動きだしていた。
「い、っじわる、………しなぁで!」
涙を溜めてそう怒っても、僕のイイところをゴリゴリと強く触られたりしたらもうお手上げだ。 が、僕の目の前にあるスクリーンに映しだされた文字に雪梅と執事長が硬直してしまう。僕は文字がまったく読めないから、急に止まった雪梅の中指にのたうち廻っていた。
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