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Ⅵ
食事を終えた僕と雪梅はそのままベッドに直行せずに、ホテルのフロントにいた。デートしながらセックスをするというアレを実行するタメだ。
「雪梅、車の運転は絶対にセバスに任せてよ」
車の中でいちゃつけないから!と首輪と鎖をジャラジャラといわせている僕がそういうのは、雪梅にハンドルを握らせたくないからだ。そう、コレはよくあるハンドルを握ったら、そのひとの本来の人格が現れるというモノ。
とはいえ、雪梅の場合は運転が荒れ狂うだけなのだけど、ソレが物凄く怖いのである。生きた心地がしないとひとはよくいうけど、まさにソレである。運転免許を持っていない僕でもそう思うから、運転免許を持っている執事長はなおさらそう思っていると思った。が。
「え、私がですか?」
自動運転が搭載されているから、てっきり雪梅が運転すると思っていたらしい執事長はそういう。たぶん、念願のデートシーンを撮れると浮かれ、後部座席を陣取ろうとしていたから、どれだけの機材が持ち込めるか計算していたのだろう。
「そうだよ。雪梅が僕を助手席に乗せるとでも思ったの?」
僕がそういうのは、いち番死に近いレッドゾーンに愛してやまない僕を乗せるハズがないからだ。後部座席の運転手側に乗せるに決まっている。いち度乗ったときもソコだったから、確信はあった。
「さ、ようですね」
涙ながらそういう執事長は、本当に残念そうな顔でどうしてもダメですか?と雪梅に直談判していたようだけど、僕の命を天秤にかけるまでもなく即答だった。
「却下だ!れいが私といちゃつきたいというなら私はれいといちゃつく」
鋤かした顔でそういうと、雪梅は執事長に車の鍵を手渡す。さあ、コレで存分にいちゃつけるよと両手を広げて僕のことを迎える準備をするから、執事長は肩を大いに落として悲しんでいた。僕はというとそんな執事長をみ向きもせずに、雪梅の胸に飛び込んでいた。
「雪梅、先ずはフロントで教えて貰った水族館っていうところにいってみない?」
そういうのは施設があったところも、雪梅が家を構えている場所も中央大陸で、水族館というモノがないのだから仕方がない。淡水魚館なら、湖や河があるからあるだろうが。
だから、実は海水浴もしたことがない。だから、天夢や雷梅、結羽が向かったというリゾートビーチを提案したかったけど、雪梅が海は肌が真っ赤に焼けて痛いだけだから止めておいた方がイイよっていうから僕は教えられた水族館を選択するのだった。
ソレに、フロントで貰ったパンフレットの写真をみるからには、どの場所もアンアンし放題である。暗闇があるところや個室になってそうな場所がわんさかなのだ。僕はふっふんと鼻を鳴らしながら、どうやって雪梅に哭かされようかといまから物凄くわくわくしていた。ぎゅうぎゅうと僕を抱きしめる雪梅も同じだったようで、鼻の下を物凄く伸ばしてウキウキしていた。
「ねぇ、れい?物凄く気持ちよく哭かせてあげるから、いっぱいサービスしてくれるかい?」
れいのアナルは本当に気持ちイイんだと恥ずかしげもなくそういってくる雪梅に、僕もうんうんと頷くけど、「雪梅のおちんちんはどうしようもなく気持ちイイから、自我を忘れてサービスできなかったらごめんね」と先に謝っておいた。
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