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Ⅷ
「……………ぁっ!!!」
殺生なしに甲高い声をあげて、僕はもういち度イッてしまう。小さなディルドが動く度になん度もイキまくる僕の顔を雪梅は愉しそうにみていた。
両サイドの肘掛けから足を滑らさないようにしているだけでも大変なのに、こんなにも気持ちよくなん度もイかされた足腰が立たなくなる。踏ん張ることもままならないようになってきて、僕は雪梅の太股の上に落ちてしまった。
「────ぁんん!!!ぅん!!!」
ソレでも動きを停めないディルドに僕はお尻を突きだして、悦んでしまう。こんな状況で果たして水族館デートができるのだろうか?そう思いながらも僕はひいひいと気持ちよく哭きだしていた。
「れい?ちゃんと意識持って。コレから水族館で綺麗な魚をみるんでしょう?」
雪梅はそういうと僕の服を整えて、さあ立ちなさいというのだ。物凄く意地悪なことをいってそうだけど、コレは僕のため。ディルドでこんなにも気持ちよくひんひんと哭いていたら、我慢できなくなった僕は雪梅のおちんちんが欲しくなるからだ。そうすると、せっかくデートしながらセックスをするという僕の目的が果たせれなくなる。
「────ん、でぇも、…………うけぁい……」
頑張って立ちあがろうとするけど、足腰が笑っているらしく踏ん張れない。なんとか身体を反転して雪梅の方に顔を向けたけど、ディルドがふるふると動くたびに僕の身体は小さく震えいた。気持ちよ過ぎてもうなん度もイっているのだ。
「抱っこしようか?」
そういう雪梅に僕はうんうんと頷いて雪梅の首に腕を巻きつける。すると、乳首がシャツに擦れて僕はまたイってしまう。
「───はぁん、らぁめ…………ちぃい!!」
こしゅこしゅしてと僕はシャツの裾を巻くしあげようとすると、雪梅がシャツ越しに乳首に吸い付いてきた。首輪と鎖がじゃらじゃらといいながら、僕は喉を大きく反らす。
「ふっふ、焦らされてイくれいは物凄く可愛い。だけど、コレもお預け。解るでしょう?」
そういわれて、僕はもっとという言葉を呑み込む以外なかった。
「ほら、車から降りるよ。れい、私のこと愛してるっていってみて?」
そんな僕はなんとか本能を抑えようとして、雪梅の言葉に従順に応じる。そして、雪梅に抱っこされて車を降りた僕は愛の言葉を口にする以上に幸運の幸福を得るのだった。だから。
「───っか、……あ、して、るぅ………」
そういったとたん、僕の視界が大きく広かった。同時に、哄笑という言葉がコレほどまでこの場にあっているとは思わなかった。腹の底から込みあげてくる嗤いに、お尻に刺さったディルドのことなんか忘れて去るくらいに、僕は可笑しくって可笑しくって哄笑していた。
目尻から滲みでる涙に、雪梅が失礼だよと親指の腹で拭ってくれる。ありがとうと僕は雪梅にお礼をいって、雪梅のことを抱きしめた。そう、もし神様というモノがこの世にいるというのならば、僕はいまというときをこの僕に与えてくれたことに感謝しなければならなかったから。
「どう?幸せって気分を味わえたかい?」
そう囁く雪梅に頷いて、僕はゆっくりと後ろに振り返った。
「ふっふ、どうしたの?そんなに怖い顔をして。ああ、そんなに僕のことを寝取った実弟が憎い?ソレとも、僕との番と夫婦の契りがその手に入らなくってイライラでもしてるの?」
そう喉奥からでてくる僕の言葉は僕であって、僕ではない。声までがおぞましく低く、僕という人格を疑うくらい、ソレは他人だった。その理由は簡単だろう。ウンデルと一緒にいるハズの藤梅が、僕の目の前にいるセイだ。
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