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「いやー真面目だなあって。そういえば奥さんも言ってましたよ。旦那は真面目すぎてつまらないの、って」 松本は紙ナプキンでテーブルを拭きながら答えた。 私はショックで固まった。 真面目のどこが悪いのだろう。 複写業の会社に勤め、他県まで出張に赴く主任の立場で、安定した給料を得ていて。 それらは全て真面目に仕事をしてきた結果だ。成果だ。 それがつまらない、だって? 結構ひどいことを言うのだな。 「そんな傷ついた顔しないでください、可愛いけど」 さらに貶める類の言葉を上乗せされる。 私は恨みがましい目線でもって眼鏡越しに松本を見やった。 松本は指についたソースを一舐めし、言った。 「俺ね、バイなんです」 「は?」 「バイセクシャル。男も女もいけるってこと。奥さんの携帯に貴方の写真が一枚だけ入ってて、他はぜーんぶ韓流で、あ、奥さんが寝てるときにこっそり盗み見たんですけどね。いいなぁ、って思って」 予想もしてなかった内容に硬直し続ける私へ松本はやや毒のある笑顔で告げる。 「というわけで俺とセックスしましょう?」

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