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松本は何の躊躇もなしに私の股間へ片手を伸ばしてきた。 耳朶にざらついた舌が触れ、舐め上げられる。 第一ボタンまでかけたワイシャツの襟元をぐっと引っ掴んで首筋を曝し、薄い皮膚に口づけてくる。 「ま、待ってくれ」 「ん」 「ま、まだメール」 うなじを啜りながら両手でスラックス越しに股間を揉み込んでくる。 「まだですかー?」 「ま、まだ送っていないっ」 「遅」 メールどころではない。 何度も打ち間違えて、また削除して、また打って、間違えて、削除。 「ああもう、貸してください」 松本は私の携帯電話を奪い取ると凄まじい速さでメールを打った。 「今夜は遅くなる、終電で帰る、ハイ、終了」 勝手に送信してソファの上に携帯電話を放り投げると、正面から私を抱き寄せ、またキスをしてきた。 「むっ」 まだガムを噛んでいた松本はそれを私の口の中へ舌先で押しやってきた。 ミントの香りはすでになく、恐々と受け取ると、それを巻き込んで舌を絡ませてきた。 くちゃくちゃと粘着質の音が立つ。 口腔の異物感に唾液が止め処なく湧いた。 キスをしながら彼は自分の股間を押しつけてくる。 か、硬い。 「ぁ、君の、君のが当たるんだがっ」 「うん、わざと」 「……」 「勃起するって言ったでしょ」 再びガムを自分の口に戻し、雑に奥歯で噛みつつ、松本は笑った。 「ああ、だけどまずは」 松本は私が着用していたスーツの上下を脱がせるとハンガーに丁寧にかけた。 「皺ができたら嫌ですよね。何せ真面目だから」 「馬鹿にしているだろう」 「いいえ、ちっとも。さて、これで心おきなく」 ベッドで貴方と遊べますね。

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