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2_お宅訪問

昼下がりの講義室にて。 後ろの席に着いた俺はノートやプリントを広げた上でスマホを眺める。 画面いっぱいに広がるのは、銀縁の眼鏡をかけたままひと時の眠りにつく男の綺麗な寝顔。 額に乱れた前髪と濡れた唇が色っぽい。 「松本、何それ、カノジョ?」 隣にいた友達がひょいと手元を覗き込んできた。 俺はさっと画面を切り替えて「見んなよ」と口元の笑みはそのままに、素っ気なく言った。 ■□ 昼下がりの職場にて。 官公庁の文書データ化業務を請負い、短期で雇った人員の作業指導に当たっていた私は午後に休憩を入れ、自販機が並ぶ角のコーナーで一人缶コーヒーを飲んでいたのだが。 スラックスのポケットで携帯電話の振動。 何ら警戒を抱くわけでもなく速やかに取り出し、ああ、メールか、と思い、相手を確認した。 松本。 誰だったかな。 相手先の人間だろうか。 「あ」 まさか。 二週間前に出会ったあの松本か?

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