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松本のスマートフォンが久也からのメールを初めて受信したのはついこの間のことだった。
文面はさっぱり簡潔、大昔の電報のような内容だった。
〈来週末 妻 コンサートで外泊 家に来るか〉
あんなことを言ったからもう会ってくれないかと思っていた。
自分が言われたら確実に白けるだろう、告白めいた台詞を。
『俺、今まで誰か一人に傾くなんて、一回もなくて』
思い出すだけで恥ずかしい。
ダサ。
穴があったら迷わず入る。
冗談めかしていながらもれっきとした脅迫をする自分自身にいい加減嫌気が差して、最近は、自分の方から連絡を控えていた。
だけど会いたくて。
一人悶々とする日々を送っていたら久也からそんなメールが届き、松本は、即そのメールに保護をかけたのだった。
だけど意外なくらい大胆なお誘いだよな。
奥さんが留守の自宅に愛人を招くなんて、さ。
えろすぎない?
AVにありそうなシチュエーションみたいで俄然やる気が出ちゃいそうなんですけど。
あ、こうなったらクリスマスの前倒しってことでチキンとかケーキとか買っていこう。
あれ、もしかしてお泊りもアリとか?
やばい、もう勃ちそ。
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