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週末当日。 ケーキとチキンの箱が入った手提げ袋を両手にそれぞれぶら下げて待ち合わせのコンビニに出向くと、同じような荷物を持った久也が。 「あ、被っちゃいましたね」 「本当だな」 土曜日、会社帰りと思しき久也は相変わらずのスーツ姿で、眼鏡をかけて、美人の奥さんと可愛い子供とモフモフの飼い犬が待つ家庭に今から帰ります、という誠実そうな会社員に見えた。 だけど今夜奥さんはコンサートで韓国へ。 子供はいないし、犬は……それは知らない。どうなんだろ。 「久也さん、犬とか飼ってます?」 「いや、マンションがペット禁止だから。昔は飼っていたが。犬、苦手なのかい」 松本が素直に先ほど抱いた勝手な印象を伝えると、久也は、微かに笑った。 「何だい、それ。モフモフの犬って」 ああ、久也さんの笑い方って綺麗だな。 だけど、被ったってことは、久也さんもクリスマスを意識したってことだよな? 仕事終わり、俺のためにチキンとケーキの店に寄って、どれにしようかちょっと悩んだりして、これとこれ、って決めて、買ってきてくれたんだ。 「君、何だか顔が笑っているぞ」

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