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久也が妻と二人で暮らすマンションの部屋は小綺麗に片づけられていた。 カーテンやソファなど淡い色合いに統一されていて、落ち着いた雰囲気。 久也が寝室で着替えている間に松本は手を洗い、ダイニングテーブルに買ってきたものを並べ、適当に食器を出した。 カチャカチャと、些細な音が何だか耳に心地いい。 あ、飲み物忘れた。 今から買いにいってこようかな。 「ああ、ありがとう」 現れた久也はVネックのシャツにカーディガンを羽織り、スウェットを履いていた。 スーツを見慣れていただけにラフな普段着は新鮮で、松本は、しばし言葉を忘れて久也に見惚れた。 「朝の内に簡単なサラダを作っておいたから」 松本のときめきを知る由もない久也は対面式のキッチンで冷蔵庫を開いてラップがかけられたサラダを取り出す。 「今日は君が買ってきたものを食べて私の分は明日に回そうか。君、ワインは飲める……君はひょっとして、未成年ってことは……」 「一応、成人です」 「そうか。君のこと、私は何も知らないな」 ダイニングテーブルで向かい合って遅めの食事を始める。 細長いワイングラスは久也によく似合っていた。 「素敵なお家ですね。奥さん留守なのに片づいてて」 「そうかい? 単に物が少ないだけだが」 「十分ですよ、奥さんが羨ましい」 「え?」 「何でもないです」

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