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「ふぁっ」 隙だらけだった唇を激しく貪る。 肉食動物が獲物を平らげるような獰猛ぶりで口腔を隈なく犯す。 時折、思い出したように腰を振り立てては久也の最奥を抉った。 「ふぁ……ん、んっんっ、んんん……ッんぅぅ」 視覚を奪われ、代わりに他の感覚が敏感となり、久也の鼓膜にははしたない音がひっきりなしに突き刺さっていた。 「ふぁ……っもぉ、これ、外したい、ん、だが……っ」 「だーめ、まだです」 松本は久也の哀願を悪戯に突っ返す。 久也の上体をもう少しベッドの中心へ進ませ、背中に正面を密着させて完全に彼に覆い被さると、松本は脇腹から股座へと片手を伸ばした。 「あ」 そっと握り締めた熱源は先走りで濡れそぼっていた。 下腹部にまで反り返っていたそれを撫で擦ってやると、甘い声音が切れ切れに紡がれる。 うなじを舐め回しながら扱いてやると声は止まらなくなった。 「や、だめ、出る、出ちゃ、いっ……そ」 松本大好物の女言葉が飛び出してくる。 小刻みに彼を突きながら扱く速度をさらに上げ、耳朶を啄ばみながら、松本は囁きかける。 「いっちゃってください……久也さん……」 「ぁっっ、ぁぁっ、や、も、だめっ」 「二人でだめになっちゃいましょう」 松本の欲深な手と律動に追い上げられて久也は射精した。 狂的に強まった締めつけにつられて、松本も、そのまま彼の中で一度目の放精を迎えた……。

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