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松本は緩みがちな唇の狭間に人差し指と中指をおもむろに潜り込ませる。 温かな口内の唾液が指の腹にふんだんに纏わりついてきた。 「ン……ふ……」 久也は口を窄めて松本の指をしゃぶる。 たどたどしい仕草で頭を動かして第二関節まで含み、舌を絡ませ、音を立てて吸い上げる。 軽く歯列を食い込ませて甘噛みしてくる。 「あ……久也さん……」 松本は甘ったるい震えに貫かれて腰元を震わせた。 クチュクチュと健気に指をしゃぶる久也を眺めていたら心身が底なしに飢えた。 えげつない欲望に拍車がかかる。 所在なさそうにしていた久也の手を片方とると、熱を孕んで上を向き始めた彼自身の元へと持っていく。 「んっ」 「ほら、久也さんの、こんなにヌルヌルして……びしょ濡れ……」 「んんん」 「さっきいったばっかなのに、もうガチガチだよ……わかるでしょ?」 握らせて、扱かせる。 「ん……ふぁ……あ」 「ほら、もっと、ちゃんと扱いて……そう……いいよ……」 指を引き抜き、背筋を伸ばした松本は、自身を扱き立てる久也を見下ろしながらピストンを再開した。 足を開かせて両膝を固定すると生温い肉壷の奥まで容赦なく打ちつける。 先程、中に放った精液がペニスの行き来に伴って後孔から滲み出、周辺を卑猥に濡らした。 「は……っ久也さん……っ」 「ぁ、すごぃ……ぁっぁっぁっ」 大胆に自慰に耽る久也を見下ろしていたら本気で唾液が湧いた。 いっそ食べてしまいたい。 自分の一つにしてしまいたい……。 「んっ」 どす黒い欲望を紛らわせるために松本は久也の唇を塞いだ。 繋げられるところは全て繋いで、喉奥まで舌を入れ、上擦る吐息まで貪った。 ああ、いきそう。 片方の手に手を重ね、指を絡めると、久也も長い指に力を込めて握り返してきた。 ああ、窒息しそう。 この瞬間に死ねたら本望かもしれない。 苦心してネクタイを外せば頼りない視線を浮つかせる霞んだ双眸と出会う。 ドクンと、松本の心臓は打ち震える。 一体何度、俺はこの人に恋すればいいんだろう。

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