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5_幕間

夜七時を過ぎたファーストフードショップは制服を着た中高生や学生と思しき若者で賑わっていた。 ブラインドが上げられた窓際のテーブル席、参考書片手にレポート作成の真っ最中でありながらも、松本は頻繁にスマートフォンで現在時刻をチェックする。 久也とここで待ち合わせをしていた。 別にホテルの真ん前で落ち合っても構わなかった。 が、それは久也が嫌がるので、大体、こうして暖かい店内で彼と待ち合わせる。 残業がいつ終わるかはっきりしない久也を待つのは嫌いじゃない。 彼の到着を今か今かと心待ちにする、このもどかしい時間がある分、ホテルのベッドで押し倒す愉しみが増すのだ。 久也さんに早く触りたいな。 今夜はどんな風にいかせてあげようかな。 半分ほど残っていたハンバーガーを一気に平らげると、松本は後少しで終わるレポートを片づけようとする。 ふとテーブル横に立つ人の気配。 久也かと思って堰を切ったように顔を上げる。 が、そこに立つのは眼鏡をかけた年上の男ではなく、短いプリーツスカートにネイビーのハイソックスを履いた、明らかに年下である女子高生だった。 「あのぉ、スミマセン」 「え、何?」 「割と、この時間、この席にいますよね?」 「うん、いるけど」 「あのぉ、カノジョとか……いたりします?」 「え?」 「いなかったら、私と、付き合ったり……とか、アリですか?ナシですか?」 前の松本ならば即オッケー、一時間後には手近な場所で……。 が、今現在の松本は。 久也と出会ってからの彼は答えた。 「彼女はいないけど好きな人がいるんだ、ごめんね」 松本の答えに女子高生はそこまでショックを受けた様子もなく「そぉですか、わかりましたぁ」と返事をし、ちょっと気まずそうに笑って、友達の待つテーブルへと戻っていった。 恐ろしいタイミングのよさで入れ代わりに久也がやってきた。 厚手のコートにマフラーを巻いた彼は、擦れ違った女子高生を束の間目で追って、松本の向かい側に座った。 「今の子は知り合いだったのか。よく、ここで見かけていた顔だが」 「え、そうなんですか? ああ、でも確かに俺がここによく来てるって、知ってたみたいだったなぁ」 「……?」 「俺、女子高生に告られちゃいました」 「……」

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