43 / 130
6-9
ビジネスホテルの風呂場はたいてい狭い。
ユニットバスで防水カーテンに仕切られた浴槽に久也は松本と共に入らされた。
バスタブには半分ほど湯が溜められている。
そうは言っても、松本が下にいて、久也はろくに湯に浸かっていなかったが。
「ちゃんと隅々まで洗ってあげますね」
浮かれた声で上機嫌に言い、松本は、ボディソープで泡立てた両手を嬉々として久也の正面に伸ばしてくる。
胸の辺り、特に突起周辺に集中したマッサージに久也の背筋は震えっぱなしだった。
「や、いやだっ、なんでそこばっかり……!」
「だって、久也さんの綺麗な薄ピンク色の乳首、ずっと綺麗なままでいてほしいんで」
広げた五指で強弱をつけて揉み込まれる。
ピンと勃起した乳首の先が掌に擦れる度に久也は呻吟した。
しかも、両足は大きく開かされて浴槽の縁に引っ掛けた状態であり、股の間からは……衰えることなく屹立した松本のペニスが頭を擡げていて。
「ん」
抓るように指先で緩く引っ張られて久也は身を捩った。
クニュクニュと優しく蹂躙される。
「あ……ん……っ」
「久也さんと一緒にお風呂に入るの、夢だったんです」
お泊りの時はシャワー止まりで、こんな風にバスタブに一緒に入れなかったでしょ。
夢が叶って嬉しいです。
「……」
久也はぎこちなく振り返ると松本を見やった。
濡れた髪をかき上げてオールバックにした松本は見慣れないもので自然と胸が高鳴る。
久也が見つめていると松本は斜めに顔を傾け、キスしてきた。
「ふ……」
伸ばした舌先を繋げて物欲しげに擦り合わせる。
松本は、キスをしながらボディソープを追加すると、今度は芯を取り戻しつつある久也の性器に。
「ぁっ」
必要以上に泡立った、ぬるぬるとした掌に押し包まれて久也はさらに身を捩った。
湯船が揺らめいてパシャパシャと音を立てる。
「や、やめてくれ、恥ずかしいっ」
「駄目ですよ、ちゃんと綺麗にしないと」
「や、やだ、ぁぁ、ぁっ、ちょっと……!」
「あ、ついでに俺のも洗っちゃいますね」
「え? あ、ちょっと、待て、あ、ぁぁぁ……っ」
松本は久也の股からそびえ立つ自身と、久也の性器を重ねて、一緒に扱いてきた。
もう片方の手で胸の突起を摘まんでは緩く引っ張ったり、押し潰したり、円を描くように転がしたり。
目も当てられない下半身の泡立ちぶりと執拗な胸への愛撫に久也は喉奥で呻吟した。
「久也さん、中も洗っちゃいましょうか」
「え……」
「俺の泡つきペニスで綺麗にしてあげます」
「……本当、んっ、君って奴は……」
「何です?」
「……いいよ、好きにしたらいい」
君に好きなようにされるのが、私は、好きみたいだから。
「……今の、もう一回、言ってください、久也さん」
「……嫌だ」
ちぇ。
今のは永久保存版に値する人生で言われた嬉しい言葉第一位だったぞ、絶対。
「みたい」がちょっと余計だったけど。
「……んっ」
松本はその姿勢のまま、一端腰を引いて、ペニスの先を久也の後孔に捻り入れた。
ボディソープで温む隆起をブチュブチュと肉の中へ押し進めていく。
「は……っ、く……ぅん」
久也は浴槽の縁を思わず掴むと子犬みたいに甘えた声で鳴いた。
「あー……すごい……あったかいよ、久也さん……」
下から何度も突き上げて湯船を波打たせる。
湯が入り込み、いつにもまして卑猥な水音が狭い浴室に反響する。
「んっっぁっ、ぁっ、やっ」
「久也さんの中、泡でぬるぬる……ペニスも乳首も泡塗れ、ほら……」
水面から突き出た、泡の残る久也のペニスを撫で擦り、胸の尖りを指と指で挟み込んで小刻みに摩擦する。
同時に三箇所を攻められて久也は快感の余り朦朧となった。
「あぁっ、だめっ、いい……そこ、いい……」
「どこが一番いいの? ここ?」
きゅっと、乳首を抓られる。
「あっぅ」
「それとも、ここかな」
溢れ出る先走りで泡を溶かしつつある久也のペニスを扱き立てる。
「いや……」
「やっぱり、ここですか?」
怒張して筋の浮かぶ隆起がブチュブチュと肉壁の狭間を深く行き来する。
「ああ……ん、全部……いい、気持ちいい……すごい……」
恍惚となって上擦る久也の甘い声音に松本の隆起はさらに硬さを帯びた。
「いや……っ、大きくなった……」
「うん、久也さんがエロすぎるからです」
松本は迫り来る放精感に口元を緩めて、著しく速度を上げ、久也を下から突きまくった。
俺なしじゃいられない体にしてあげます、久也さん。
傲慢な欲望を密かに囁いて、松本は、喘ぐ久也に噛みついた。
そうして出張の第一夜は過ぎていった……。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!