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6-11
『明日の晩ご飯は俺が奢りますね』
一日目に居酒屋の支払いをもった久也に松本はそう言った。
夕刻、仕事を終えてホテルに戻ると、一先ず自分の部屋に書類などの荷物を置いて顔を洗い、六階のフロアへ向かう。
チャイムを鳴らすとドアはすぐに開かれた。
「久也さん」
上着とネクタイを取り去った、ワイシャツにスラックス姿の久也を松本は笑顔で出迎えた。
「今日も一日お疲れ様でした」
「お疲れ様。君は何をしていたんだい」
「んー特に何も」
「それは君らしいというか何というか」
自分がとったシングルルームと同じ内装の部屋は綺麗に片づけられていた。
ベッドの向かい側にある、テレビやお茶セットが置かれたテーブルにはファーストフードのロゴがついた紙袋二つ。
そんなことだろうと予想していた久也はつい微笑した。
「どうかしました?」
「いいや、別に」
「あ、飲み物、アイスコーヒーでよかったですか? バーガーはてりやきとフィッシュがありますけど」
「どちらでもいい、君は好きな方を食べたらいい。ありがとう、いただくよ」
久也は整然と設えられたベッドに腰掛けた。
部屋にはイスがなく、当然、松本も久也の隣に座る。
「……」
松本がやたら密着して隣に座ってきたので、久也は、横にずれた。
すると松本も横にずれて再び密着してきた。
文句を言いたげな表情で久也が見やれば松本は首を傾げた。
「どうかしました?」
「食べづらいだろう?」
「いーえ、全然。いただきまーす」
松本がすぐ真横でハンバーガーを食べ始める。
仕方ないなと、久也もフィッシュバーガーの包装を開いた。
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