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「ほら、ちゃんと窓に手、突いてください?」 「やだっ。絶対いやだ……っ」 「ほら、外から丸見え」 「い……いやだ……恥ずかしい……」 「本当? こんなに硬くしてるけど?」 「あ……んっ」 「恥ずかしいと感じちゃうんですか?」 「あっあっ……だめ……っ」 「淫乱な久也さん、俺、大好きです……」 バスの走行音、響くクラクション、カラスの鳴き声。 目蓋越しに滲む光。 毛布に包まっていた久也は身じろぎ一つし、おもむろに目を開けた。 ……もう朝か。 再び目を閉じて息をつくと、素肌に覚える毛布の暖かな重みに溺れそうになりながらも、腕を伸ばして枕元のヘッドボードを弄る。 指先に華奢な金属の感触が触れると、拾い上げ、眼鏡をかけた。 何時だろう……ああ、七時半か。 チェックアウトは十時だから、まだ、急ぐ必要もないか。 だけどさすがに寒いな、何か着るものを。 ベッド下に落ちているはずのシャツをとりたかった久也だが、今、彼は大きな動作をするのが困難な状況にあった。 「……」 久也は肩越しにすぐ隣で眠りにつく松本を見た。 松本は久也の上体にしっかりと両腕を回して熟睡していた。 やれやれ、全く。 普段は整髪料で軽くセットしている髪をちょっと乱した、寝起きでぼんやりした久也は、もぞもぞと松本の腕の中で寝返りを打って彼の寝顔と向かい合ってみた。 よく寝ている……そりゃあ、そうだろう、あれだけ体を動かせば。 何だかいつもより幼く見えるな。 口まで開けて、寝息を立てて、何と無防備なことか。 「……ふふ」 むにゃむにゃと寝言を洩らした松本に久也は思わず微笑した。 その微笑が、ふと、引き攣った。 自身の太腿に当たる、硬い、無視できない熱もつ輪郭の存在に気がついて素直に頬を赤らめる。 あれだけ散々夜遅くまで及んだというのに。 何故、彼のものは勃起しているのだ……。

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