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夜七時を過ぎたファーストフードショップは制服を着た中高生や学生と思しき若者で賑っていた。 ブラインドが上げられた窓際のテーブル席、全快した松本はコーラ片手に期間限定のハンバーガーを食べながら、正面に座る久也に問いかける。 「で、連休どうします?」 「……ああ」 「決めていいって言ってくれましたけど、俺の意見、殆ど却下されたような気がするんですけど」 ウーロン茶を飲む久也は斜め下に視線を落として、なんだか、そわそわしている。 「もしかして、お仕事、入っちゃいました?」 「え? いいや、大丈夫だ、ちゃんと有休申請したから」 じゃあ何でそわそわしているんだろう? ストローの入っていた袋を小さく小さく折り畳んだりして、手元も落ち着かない。 ハンバーガーを食べ終えた松本は頬杖を突き、サイドセットのポテトを摘まみながら思考を巡らせる。 「そもそも、どこも人でいっぱいですよね、連休なんて。道も混むし店も混むしトイレも混むし」 「そうだな」 「大体、こんな寸前に予定立てるのも遅いっていうか……ていうか、下手したらもう連休に突入している人達もいますよね」 「ああ」 「どうせラブホも予約でいっぱいか、駐車場で待たされるか、待合室で待たされるか」 「勘弁してくれ」 「ですよね。なんだかんだで時間とると嵩張っちゃいますし」 松本は虚空を眺めて「うーん」と唸り、次に、肩を竦めて笑ってみせた。 「もういっそ俺の部屋でのんびりします?」

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