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「ん……」 背後へ顔を傾けさせた久也の唇をそっと啄ばむ。 砂糖もミルクも入れなかったブラックコーヒーの苦い味が、した。 前屈みになった松本に深いキスを強請られて、久也は、少々きつい体勢でありながらも迎え入れた。 首筋を反らせてうっすらと唇を開く。 するりと滑り込んできた、松本の舌先。 じゃれつくように口腔で戯れてくる。 相手をしてやれば、向こうの唇へも招かれ、微熱に温む唾液を味合わされた。 「……ふ」 「久也さん、俺……したいな」 久也の下唇を舌尖でなぞりながら松本が囁きかけてくる。 「久也さんは?」 「え……」 「したくない?」 「……だって、まだ……午前中じゃないか」 「ビジネスの時、朝イチでしたじゃないですか」 「あ、あれは、その」 滑らかな頬からしっとりとした首筋へ、転々と口づけていき、耳たぶを舐め上げる。 「あ、こら……」 「そんな飛ばさないから……そうですね、午前中に一回、午後に一回?」 「……そんな決められても」 座椅子の背もたれに久也を寝かせ、眼鏡のずれを直してやると、松本は紅潮する顔を覗き込んで悪戯っぽく誘う。 「ね、しよ……?」 「……」 Tシャツの裾に手を差し入れた。 そのまま、上へ、皮膚伝いに捲っていく。 久也は僅かに身じろいだだけで松本の手を止めようとはしない。 明るい日差しが差し込む部屋のほぼ真ん中、久也の肌が胸元まで露になった。 「……カーテン」 「え?」 「閉めてくれ……窓も、少し、開いてる」 松本は悪戯っぽい笑みを浮かべたまま、久也のせめてもの要望を、さらっと聞き流した。 燦々とした日の光の中、頭を屈め、薄ピンク色の乳首を上下の唇できゅっと摘まむ。 「あ……っおい、カーテン! 窓!」 思わず大きい声を出した久也を今一度覗き込むと、人差し指を立て、動揺している双眸に注意する。 「大きい声出したら外に聞こえちゃいますよ?」 「い、いや、だから閉めてほしいと」 「大丈夫ですって、聞こえませんって」 「……矛盾してるぞ」 呆れた久也は覆いかぶさっていた松本を退かすと、自分で窓を閉めようと、座椅子から窓辺へ移動しかけた。 松本がそれを阻んだ。 背中から羽交い絞めにすると、ベルトもファスナーもない、実に無防備なゴムウエストのハーフパンツの内側にするりと手を……。 「あ」 いきなり下着越しに触れられて覚えた刺激に久也は竦んだ。 慌ててそばにあった収納ボックスにしがみついたところを、松本にのしかかられて、身動きがとれなくなる。 広げた五指で股間を揉みながら、正面に回した手をシャツの中に潜らせ、松本は乳首の一つをやんわり抓った。 「あ……だめ、ッ」 窓を閉めるどころではない。 突然始まった両手による愛撫に久也は驚くのと同時に、成す術もなく感じて、切なげに呻吟した。 「服は汚していいけど……下着は自前ですもんね」 今現在、久也が身につけている唯一の自前の衣類が汚れないよう、松本はハーフパンツと共に下着を早々とずり下ろした。 ボックスにしがみついたままの久也のシャツを再び捲り上げ、背筋に沿って舌をそよがせ、ペニスを直に撫でる。 「もういっそ今日は一日ノーパンでいましょうか」

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